ご無沙汰してます。
mameで御座います。
相棒juniの、<俺の女神!幕末編>は、私とパンダも、お気に入りの一枚でした。
パンダは、新撰組や幕末の話、関係する映画や書籍にとても詳しく、
>「沖田総司は女だった」
この話の発端も、多分彼女だったと思います。(juniは忘れているようですが・・・)
juniから、このイラストを見せて貰った時に、お話は書きましたが、このサイトの性質上、更新は難しい
だろうと思っておりました。
しかしこの度、華子様からリクエストを頂き、juniとパンダの薦めもあり、更新する次第です。
!!!ご注意!!!
◆このお話は、新撰組の「沖田総司」と「土方歳三」を、「いるかちゃん」と「春海」に置き換えて書いた
別(パラレル?)小説です。
◆新撰組の史実にも、まったく基づいておりません。
上記がご不快な方は、けっして読まないで下さい。
ご了解頂ける方は、どうぞ読み進めて下さいませ。
~浅葱色の2人~・・・男として立っているわたしが出来ること。そして、譲れない事。
それは唯一つ。
あなたの背中を守ること。
「こんな時間に外出ですか?護衛として同行します。」
フッと笑いながら沖田総司は言った。
彼の顔を見ながら、土方歳三は考える。
先般喀血して倒れて以来、その身を皆に案じられて、やっと、やっと医者に行った。
いや、無理に連れて行った。
もちろん、俺の以外の誰も、彼を医者へ連れて行けやしない・・・と言うより、連れて行くことを許さない。
たった一人、俺が心から愛する者だから。
その剣技と速さには、誰も敵うものなど無く、だからこそ誰一人、疑うことは無かった。
美麗にして華、美しい鬼。
それでも尚、どうしても惹かれる自分に驚いた。
衆道は武士道の華と呼ばれても、得て不得手がある。
どうにも馴染めないその習慣に、とうとう染まったかとさえ思った。
華であるが故に誰もが望むが、唯一人として捕まえることの叶わぬ者だった。
美しい女でさえも・・・。
彼がその、女である事に気づいたのは、ほんの偶然からだった。
オナゴからオノコへと変貌する瞬間を、本当に、偶然に垣間見た時、その冴え冴えとした美しさに言葉を失った。
・・・すぐに隊を抜けることを進めた。
いつ死ぬかわからぬ世界に、彼女を留めおきたく無かったのだ。
総司は言った。
「わたしは、生まれた時からずっと、武士として育ちました。ここで、武士らしく死なせてください。それが叶わないなら、今ここで・・」
「わかった。」
続く言葉が判るなら了承するしかなく、今に至る。
「お前なぁ。俺は新撰組の土方だぞ。」
「だから心配なんですよ。さぁ、行きますよ。彼らに会うんでしょう。」
・・・やっぱり読まれてるか。
土方が市中に紛れ込ませている隠密達。
局中であっても、名を出さない辺りが沖田らしい。
「いつもの場所ですか?」
それは知らぬはず!と、総司の顔を凝視すると、困ったように笑うその表情に言葉を失う。
「次からは共に行くぞ。俺の後ろを黙って警護してました。それで、お前が後ろから襲われたんじゃな。」
「はははは!そんなドジは踏みませんよ。」
カラカラと笑い、剣を携えた華は立ち上がった。
生まれた時から男として、武士として育てられ、武士道を叩き込まれた。
世の為に生きるのだ。
女は当の昔に捨てた!はず・・・だったのだ。
それが、彼の背中を追いかける事、守る事が、生きがいになるなんて。
死は、怖くない。けれど、貴方と共に居られなくなるのは、嫌なんだ。
私は弱くないが、強くもないことを気づかせたのは貴方だから。
・・・貴方の為なら、どこまでも強くなれる。
もし隊を抜けさせられたら、すぐに切腹して果てようと思った。
それは彼に通じたようで、今も共に立っている。
貴方の傍にいる限り、わたしは、死なない。
京都の夜は途方も無く物騒である。
いつ何処で、死に出会うとも限らない。
その市中にあって、彼らはほっと一息ついた。
「あんまり無理するなよ。そう。」
「大丈夫だよ。歳三さんの心配しすぎ。」
局を出て2人きりになると、ほんの少し少女の顔を見せる。
彼女は、土方に自身が女とばれて以後、外で2人きりの時は、「そう」と呼ぶことを望んだ。
「・・・幼い頃、母だけが、私の事を”そう”と呼んでいたんです。」と言った。
そんな沖田に土方は、「ならば・・・」と言い募り、「俺のことも名前で呼べ。」と、欲を覗かせた。
それからの2人は、縮まった距離を実感しつつ、お互いに何も言わなかった。
秘すれば華・・・「そう」「歳三さん」と笑いあうのだ。
「心配しすぎても・・・し足りん!今だって、”そう”司、お前は無茶するつもりだろう。」
「そうですね・・・3人?いや、5人でしょうか。土方さん。」
土方と沖田は、スッと背中を合わせ、闇夜に目を光らせた。

・・・あなた(お前)になら、背中(命)を預けられる・・・。
言葉にならない信頼(想い)が、最も強く2人を繋げる時間へと、彼らは突き進むのだ。
意外と簡単に事は終わった。
土方が1人を手負わせ、沖田が、「新撰組の土方と沖田と知っての所業ですか?」と、薄く微笑みながら言うと、彼らは逃げるように去った。
敵方ではなく、追いはぎか何かだったらしい。
「ほら、わたしがいて良かったでしょ。」
彼女は、微笑みながら土方を見上げる。
「わたしがって、お前な。」
「うん?」
口角を上げ小首を傾げる様は、ほんの先程まで、殺気を漲らせていた剣鬼とは思えない。
「・・・ありがとうな。そう。」
歳三は名前を呼びながら、ポンと”そう”の頭に手を置いた。
すると彼女は、体ごと行き先の方へ向き、歳三から少し染まった顔を隠す。
そして・・・
「歳三さん、おいてくよ。」と言いつつ、歩を進めるのだった。
~終わり~
mameさんありがとう。
感動(/□≦、)エーン!!