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無理・・・から

いるかちゃんヨロシク二次小説ファンサイトイラスト
皆様こんばんは、ご無沙汰しております。
mameです。

これは、juniとmameの、純粋な合作と言ってもいいモノだと思います。
2人で妄想して出来上がりましたから。(juniはmameのネタだと言ってますが・・・。)

mameとjuniと・・・のいるかちゃんは、本当に幼いです。
それでも宜しければ、読んで下さいませ。

クリスマスの時期にはまったく合ってませんが・・・。
mameから、メリークリスマスの気持ちを込めて。

一話完結です。



~無理~・・・から


春の選抜出場が決まった、高1の三学期。

里見学習院の生徒会室、ある日の出来事である。




「ムリ! ムリムリ、ムリーーーーー。」

首をブンブンと横に振り、必死に答える婚約者。

何時でも、今でも良いよと、顔を少し突き出す俺。




もとはと言えば、いるかの一言から始まった。

「あのさ春海。優勝したら、何か欲しいものある?」

本当に何気ない一言。

生徒会室で、書類に目を通している俺の顔を、ひょっこりと覗き込むようにして聞いてきた。

上目遣いになるのは、体勢的に当たり前で、大きなハシバミ色の瞳にドキッとする。

だからちょっと、意地悪な本音を言いたくなった。

「いるかから、キスして欲しいな。」

多分、人の悪い笑顔になっている事は、認識していた。

ただ、いるかは驚き・・・おののき、恥ずかしがり、目には入っている筈の俺の表情も、理解出来ていない様子だ。

そう、理解出来ていない。

・・・冗談で言ったわけではない。本心だ。しかし、無理だという事は解っている。

ちょっとした意地悪だ。欲しいモノを聞かれたから、素直に答えたまで・・・。




最近、周囲から勝利の女神(もしくは戦いの女神)と称される彼女。

如月副会長が応援に来ると、部活史上最高記録になる。と、まことしやかに、しかし、積み重なる実績が後押しする噂。

始まりは去年の夏。

甲子園最初の年、リコールに加担していた野球部キャプテンに連座して、殆どの主力三年生が退部して行った。

東条巧巳は、高校野球の現役を離れて1年。ブランクは大きい。

常連校と言えども、甲子園はそんな甘い場所ではない。

それは、とどのつまり、戦力の激減で、いくら山本春海が凄いピッチャーとはいっても・・・。

三回戦まで行けは良い方だろうと、野球部・学園内外の殆どの者が考えていた。

その中にあって、諦めない2人。

それを見て奮起し、陰ながら練習に人一倍励む、1人。

結果は、予想を良い意味で裏切って、ベストフォーという結果を出した・・・それは、野球部史上、最高記録だった。

甲子園地区予選以来、恒例になった「生徒会応援団」。

学習院が応援バスを出す場合には、即日結成される。

正式に決まった、生徒会応援団の学ラン姿で、必死に団旗を振り、体全体で応援する姿に、皆が勇気付けられるのだろう。

もちろん春海も他の役員も、生徒会応援団の一員で、当たり前だが一生懸命応援する。

・・・が、一言で言えば修学院の時と同じだ。

理屈は関係ない。

いるかに感染するように、競技する生徒、応援する生徒の士気が、熱が上がるのだ。

台風の目と評される彼女。

強風乱雲を押しのけ、いるかの頭上には、勝利の青空が広がる。

彼女が応援に行った試合は、奇跡の大逆転があったり、今まで勝てなかった相手に勝利したりと、前評判を覆す結果がついて回る。

春海は思い出す。

甲子園の苦しい試合の中、いるかを見ては、何度も力を貰った・・・最後まで諦める事無く、投げ切ることが出来た。

かくしているかは、「勝利の女神」と噂されるようになった。

だから、欲しい。

彼女のキス。

勝利の女神のキスは、俺だけのもの。

などと悶々としているところへの、いるかの一言だったのだ。

「無理だから。ごめんね・・・じゃ、あの、部活あるから。」

そそくさと、逃げるように去っていく背中を見送りながら、ふーっと息を吐いた。




びっくりした、びっくりした、びっくりした~。

ドッキ、ドッキ、と耳の奥で胸が鳴る。

もう、あの場にいることは出来なくて、逃げてしまった事に、申し訳ない気持ちになった。

彼は、親も認める婚約者なのだから、キス位もう当たり前(それ以上も?)と、周囲からは思われているようだ。

でも、私の恋心は幼いのだろうか。

優しく、そっと抱きしめられれば、前のような事(殴る、張り飛ばす、蹴っ飛ばす、噛み付く)は、ようやく無くなった。

それは、彼も承知のようで、中学の時のように、突然抱きしめるという事は、殆ど無い。

春海は大人だな。余裕があって(・・・と思っているのは、彼女だけだろう。)。

でも、初めてだなぁ。春海があんなこと言うの。

突き飛ばしてくれるな、とは、言われたことはある。

でも、あんなにはっきりと・・・それも、驚いた理由の一つだ。

春海への質問のきっかけは、簡単なこと。

去年の夏は、優勝出来なかったけど、今度は自信あるみたいだし、優勝したらお祝いがしたいなぁ。

春海、何か欲しい物、無いかなぁ。

バレンタイン以外で、何かをあげたことは殆ど無い。

初めての、プレゼントらしいプレゼントとも言える。

いるかは、春海の欲しい物を考えてみた・・・が、浮かばない。

そういえば、彼から、そういう単語を聞いた事が無い。

チョコは例外らしいが・・・。

一生懸命、記憶の糸を手繰ってみるが、何も浮かんでこない。

しょうがないなぁ。みんなに聞いてみよう。

土曜のお昼の生徒会室、玉子と巧巳が在室で、春海は居なかった。

「あのさ。春海の欲しい物、知ってる?」

何気なく聞いたとたん・・・。

ぶ~~~~っと噴出す巧巳。

にや~~~っと玉子が笑いながら言う。

「春海本人に聞くのが、一番じゃない?」

まぁ、確かにと納得し、

「そうだね。そうしよう。」と、笑顔でいるかは返事した。

気のどくにと、巧巳は一瞬視線を窓にやった後、いるかに言った。

「モノ違いだな。」

瞬間、玉子の大きな笑い声が、生徒会室に響き渡る。

いるかは意味が分らず、じっと巧巳を見つめた。

丁度その時、春海が現れ、入れ替わるように、2人は席を立っていってしまった。

そして、彼に聞いたわけだが、今度は自分が出て来てしまった。

結局、欲しい物はわからず仕舞いだ。

いや、教えては貰ったが・・・キスでしょ。キスなんて。

キスだよね。キスって言った。間違いなくキスだよね。キスでしょ。

思考が堂々巡りする。

何事も慣れって言うし。練習出来ないかなぁ。練習すれば、何とかなるかな。

何の練習よ?練習もキスじゃん。キスだよね。

ああもう~~。聞くんじゃ無かったよ~~~。

珍しく、(恋に?)苦悩するいるかの姿が、そこにあった。




生徒会の雑務を済ませ、春海が部活に向かう。

野球部の部室のドアを開けると、ユニフォームに着替えた巧巳が、ロッカーの前に立っていた。

野球に関しては、人一倍真面目な彼だ。いつもなら、すぐにグランドに向かうはず。

春の大会間近の今なら、尚更だ。

彼の前を通り過ぎ、ロッカーを開け、春海はユニフォームに着替え始めた。

すると巧巳が、意味ありげに語り始めた。

「さっきさ、いるかが俺と玉子に、お前の欲しいモノ、聞いてきてさ。」

んっ!と春海が横を見ると、含み笑いの巧巳が居る。

「玉子のやつ大笑いしてさ。いるかに、春海本人に聞くのが一番!って答えやがった。」

くっくっくっ、笑いが漏れる。

(玉子のやつ・・・。)

瞬間、顔に出たのだろう。巧巳は言葉を続ける。

「聞かれたんだな。何て答えたんだ。」

「ほっとけ。」

間髪入れずに答える。

巧巳も、彼は答えないと判っているらしく、それ以上、その事を突っ込む気は無いらしい。

その代わりといっては何だが・・・不敵なお前には丁度いいだろう。

「俺の方は、モノ違いだなっていっといたぜ。」

パッと、春海の頬に紅が散るのを確かめて、巧巳はグランドへと向かった。




一方、いるかの動向だが。

どうしても、春海の顔が見づらい。

顔を見たら、「キスが欲しい」で頭がいっぱいになる。

顔に出る。

絶対に逃げ出す。

そうする位なら・・・と、彼女はここ数日、明らかに春海を避けている。

彼はというと、冗談じゃない!と、いるかに会う気満々だが、なかなか会えない。

春の大会前練習、新入生の受け入れ準備、生徒会予算等々、常日頃から多忙だが、今はより一層忙しい時期。

その上、唯一会えるであろう生徒会室に、いるかは意識的に近づかないようにしているようだ。

とうとう春海は、彼女の帰りを待ち伏せすることにした。

どうして、ケンカをした訳でもない婚約者を、校門前で・・・と、軽い頭痛さえ感じる。

何となく額に手をやった後、憮然と腕を組み、彼女を待った。

程なく、女子サッカー部の練習が終わり、部員と共に歩いてくる。

「いるか!」

先んずればとでも言うように、声をかけ、すぐに走りよる。

きびすを返して逃げようとするいるかの制服を、玉子がつかんだ。

「何すんだよ。」

いるかが睨むが頓着しない。

「玉子、サンキュウー。」

春海は言いながら、いるかの腕を掴んだ。

「どう致しまして。まぁ、お詫びもかねてね。」

ちょっと笑いながら返事をする玉子に、

「あんまりこいつをからかわないでくれよ。」と言ってはみるものの、表情を見れば、その気が無いことは一目瞭然だ。

そんな3人を、興味深げに、野次馬根性丸出しで、何?なに?と女子部員が視線を投げた。

あからさまに不機嫌な顔を、春海が向ける。

その迫力に、ちょっと引きながら、それでもゴシップ好き、噂好きの彼女達を、完全に抑える事は無理のように見えたが・・・。

「さぁ、みんな行くよ。」

玉子の強い鶴の一言で、部員達は後ろ髪を引かれつつも、その場を離れたのだった。

その間も、いるかは春海の方を見ようとしない。

きょろきょろと視線を泳がせ、居た堪れないらしく、隙あらばという感である。

掴んだ腕に、離れようとする力が掛かる。

恥ずかしがり屋の彼女の、自分を好きだからこその、行動だろうが。

ちょっと切ないな・・・。

春海は、優しく名前を呼んだ。

「いるか。」

ふっと力が抜ける。

そして、もう片方の手で、彼女の頭を、ポフッポフッとしながら、柔らかく、もう一度名前を呼んだ。

「いるか、冗談だよ。当たり前だろ。こんなに本気にするとは思わなかった。」

それに合わせて、彼は握っていた腕をゆっくり離した。

そーっといるかが振り向く。

「からかってごめんな。」

春海は片手を、顔の前に立て、すまないっとポーズを取った。

「からかったの?」

春海の言葉で安心したのか、いるかは数日振りに、彼の顔をまじまじと見た。

「びっくりしたんだから。」

「ごめん、ごめん。冗談だって言う前に、部活に行っただろ。その後も言おうと思ったけどさ。」

その言葉にいるかは安堵し、春海に笑顔を向けた。

やっと戻った距離間に、彼は安堵しながらも切なさを重ね、でも、今は待つしかない・・・と、折り合いをつける。

「春海、折角だからさ。このまま一緒に帰れない?」

いるかは、いつもの笑顔を春海に向け、問うた。

忙しい彼とは、最近なかなか一緒に帰れなかった上に、ここ数日の自分の行動で、2人の時間を取っていない。

期待をにじませながら、返事を待つ。

「当たり前だろ。最初から、そのつもりだよ。」

春海は、右手を差し出し言う。

「折角だから、ちょっと寄り道して帰るか?」

片目をつぶり、いるかの返事とその手をまつ。

彼女は、差し出された手を、ゆっくりと握って言った。

「うん!すっごくお腹空いてたんだぁ。」

そして、2人はいつものように、家路についたのだった。




実は気付いている。

春海のあの言葉は冗談じゃない。

さすがに今回は、気付いた。

玉子や巧巳の言葉が無かったら、解らなかったかもしれない。

春海が欲しいのは、物じゃない。

モノ・・・者・・・

私・・・なんだ。

「いるかから、キスして欲しい。」

アレハ、ハルウミノ、ホンネ。

春の大会は優勝した。

いるかは、優勝のお祝いに、野球のグローブを春海にプレゼントした。

ヤッパリ、アレハ、ムリ。

続く夏の大会。

地区予選、甲子園と続く連投。

猛暑の中、春海は投げ切り、2大会連続優勝を果たした。

もちろん箱根駅伝も優勝し、夏休みのおわり、倉鹿に2人で帰った。

本当に短い、2人だけの夏の思い出。

デモ、ヤッパリ、ムリ、ダッタ。





そして始まった新学期。

9月の心地良い風の中、春海を探して、いるかは校内を歩いていた。

別にたいした用事ではないのだが、いつもの裏庭かな・・・と足を向ける。

すると、芝生に寝転んだ男子生徒が1人。

あ!春海だぁ。

へぇ、珍しい。よく寝てる。

ちょっと髪に触れてみる。サラサラの黒髪の感触が心地よい。

・・・練習、今なら出来るかなぁ。

彼の、幸せな瞬間まで、あと一分。

~~~幸せな瞬間へ~~~~

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