fc2ブログ

「いるかちゃんヨロシク」大好き!のmame+juniが運営しています。

~文化祭~Xday 黒 ⑨最終話~

こんばんは~juniです。
とうとう~文化祭~Xday「黒」も最終話です。



~文化祭~Xday 黒 ⑨最終話~

「勝者山本春海君には、マリー姫手作りの、甘いチョコレートケーキを試食して頂きます。その後に、ご希望の、マリー姫とのツーショット撮影です。」

喫茶~ベルばら~では、腕相撲大会優勝者の表彰がすでに始まっている。

前方では、優勝した春海が、いるかが現れるのを待っていた。

教室の後ろでは、準優勝の巧巳と、4位内入賞の玉子が、見物しながらもコソコソ話をしていた。

「あ~あ、いるか可哀想に。巧巳もさ、もう少しやると思ってたのに。策も講じてさ~どうして負けるかなぁ。」

「玉子、お前あいつと勝負してみろよ。いるかが絡むとマジ怖ええ、何でもありだ。」

「どういうことさ?」

「いや・・・まぁ・・・。」

・・・女装、ラブシーン・・・こいつに話すと、やぶへびになりそうな気がする・・・。

「すまなかったな。」

苦虫を噛み潰した顔で、巧巳が会話を終わらせようとした時、わぁっと教室が沸き返った。

巧巳と玉子は、前方に視線を戻す。

オスカル加納に手を取られ、マリー姫が再登場したのだ。

「凄えな。おい。」

巧巳が、企画立案の玉子に話しかけた。

しかし、当の本人さえ予想外のようで、目を見開いて、いるかを凝視している。

それもそのはずで、いるかの今日一番の華やかな姿に、誰も彼も、もちろん春海も目を奪われていた。

ゴスロリ風の、ピンクのドレスを身にまとい、目を伏せて歩く姿。

本人は、ただ単に恥ずかしいだけなのだが、その様子が可愛らしく。

赤みを帯びた頬が肌の白さを伝え、彼女の生来の幼さが、見目の愛らしさをより一層際立たせている。

「ここまでやるはずじゃ・・・巧巳・・・負けてよかったかもね。」

「俺もそう思うよ。」

勝利した時、いやその後のことを、考えるだに恐ろしい。

「それではマリー姫、優勝者山本春海君へ、一言お願いします。」

ゆっくり中央まで進み、いるかが春海の前に立ったところで、司会役の部員が言葉を促す。

彼女は憂いた様子で春海へと顔を向けると、決められた通り「優勝、お、おめでとうございます。」そう、言った。

いるかちゃんヨロシク画像 いるかちゃんヨロシクイラスト いるかちゃんヨロシク春海

口ではそう言いながら・・・いるかの心中は、悲壮感で一杯である。

出来ることなら、今すぐ逃げ出したいくらいだ。

しかし、女子サッカー部の一員としても、出店理由の一因、クラッシャー如月と言われた身としても、ぶち壊すことなど出来ない。

嫌だ~嫌だよ~~~~。湊~~!!!手作りの神話の大崩壊だよ~~・・・・。

いるかは心の中で、大きく叫ぶしか出来なかったのである。



・・・どうしてだ???

悲しそうな悔しそうな?気乗りしない、何とも言えない顔で、いるかが俺を見ている。

こんな顔をさせる為に優勝したわけではないが、かといって、この座を、他の誰にも譲れるわけは無いし。

こんな時、思いの差?心の距離を感じる・・・と、かなり大真面目に、春海は悩んでいた。

普段の彼なら簡単に気付くであろう事も、いるかが係わるとどうして・・・と、ここに倉鹿の仲間が居れば、話題になりそうだ。

中2のバレンタインチョコレート、あの事実から考えて、手作りケーキ等という数段難しいお菓子を、いるかがまともに作れる訳が無いのだ。

お茶くらい淹れられるようになったんだ!と、豪語するような彼女なのだから。

お互いの本心を口に出さず、いや出せず、すれ違った様子を見せる2人を、玉子と巧巳は見守るしかない。

それでもセレモニーは続き、問題?の手作りケーキ贈呈へと続く。

シークレット状態だったそれが、小奇麗な小皿に載せられ、マリー姫のサービスで運ばれるはず・・・春海はテーブルに座り、いるかの手作りケーキを静かに待つ。

近衛兵の部員がケーキをいるかに渡すと、衆目の中、いるかはゆっくりと春海へと向かった。

すると、

「えっ?」「アレ何だ?」

いるかの耳に届く痛い囁き・・・。

「たしか、チョコケーキだったよな。」

「黒い。」

「黒いぜ。」

「・・・食べれるのか?アレ。」

ケーキが通った所を、さざ波のように拡がる「黒」に、いるかは一生懸命平静を装いながらも、本心は泣きたい気持ちで一杯である。

それでもようやく春海の前に立ち、机にゆっくりとケーキを置いた。

少し手が震えている。

正面に座り、いるかは笑顔を引きつらせながらも

「チヨコレート・・ケケ・・・ケーキです。・・・そのままどうぞ。」と、言うしかなかったのだった。



目の前に置かれた「いるか手作りのチョコレートケーキ」を見た途端、春海の悩みは吹き飛んだ。

いるかが俺に、腕相撲大会に出てほしくなかった理由はこれか。

存外、心の距離は近かったようだ。

・・・ダメーッ、おなかこわすよぉ。じゃあ見せるだけね。食べちゃダメっ。自信ないんだから、ぎゃ~~~~~~~

在りし日の彼女を思い出す。

よっぽど頑張ったんだな。

ちょこんと置かれたチョコレートケーキが、こんなにも、愛しい。

食べるのが勿体無いほどだ。



優しく微笑みながら、小さな黒い物体を眺めていた優勝者山本春海は、礼儀正しく両手を合わせ「いただきます。」と言った。

下のカップは予め取られ、すぐに食べられるように準備されている。

彼は、小皿の横に置かれた手拭で丁寧に手を拭き、小ぶりな黒いそれを持上げ・・・。

カプッ!と半分を口に入れた。

ガリ!ポリポリボリ・・・およそケーキを食した音ではない。

固焼きせんべい?固めのクッキーを頬張ったような音が響くと・・・うわ、不味そう・・・と、生徒達が顔をしかめた。

しかし、食した本人はまったく逆のようで、心底美味しそうに、チョコレートケーキを味わった後。

手に持ったもう半分を、名残惜しそうに口に入れた。

もちろん、謎の音を響かせながら・・・。



あ!あああ、ああああぁ~~~食べた~~~食べてる~~~。

春海の顔は到底見れないが、耳に届く音で食べたのが分かった。

何か、変な音がしてるよ~~~。

あれでも一番マシだったのに~~~もう嫌だ~~。

泣きたい、逃げたい、食べないで~~~!と叫びたい。

いるかは、目の端にうっすらとためた涙をこっそり拭うと、やっとのことで顔を上げた。

春海は、柔らかく微笑みながら彼女を見ると「美味しかった。ご馳走様。」と心から言った。

いるかは、その春海の顔を見ながら・・・。

絶対、絶対、来年のバレンタインデーは、春海にちゃんとしたのあげるんだ!

手作りの神話を復活させるんだ~~~~~!!!と、硬く心に誓ったのだった。



続いて記念撮影である。

もちろん春海は、いるかとのツーショットを希望したが・・・。

如何せんいるかの心の傷(笑い)は大きく、笑顔など出来るはずも無い。

心此処にあらず、といった感だ。

こいつ、俺達の初めての2人きりの写真って気づいているのか?

春海は、横に立ついるかを見ながら思う。

「いるかちゃん、山本君、こっちを見て。いるかちゃん、笑って!」

この撮影の為に、わざわざ呼ばれたカメラ同好会の生徒が、いるかと春海に呼びかけ、いるかも必死に笑顔を作ろうとするが、やっぱり出来ないようで・・・。

とうとう、俯いてしまった。

「ごめん!ちょっと時間をくれ。」

いるかの様子を見かねた春海が、右手を上げながらカメラを構えた生徒にそう言うと、

「人魚姫」でのいるかを知る彼も、いつもと違うのが気にかかったのか「分かりました。」と、カメラを下ろした。

そして彼女の肩を抱き、カメラの前から一旦離れる。

・・・マジに旨かったんだけどな。どう言えばいるかに伝わるんだ。こんなことで傷つけたくない・・・。

春海は、俯いたままのいるかの額を軽く小突くと、体を傾け「頑張ったな。」と、小さく言った。

いるかがハッ!と顔を上げる。

目の前の彼の表情。

「旨かったよ。本当に、頑張ったな。」

・・・春海は、春海は解ってくれてる!・・・。

「うん。」

いるかは大きく頷いた。

あんな出来だけど、一生懸命、一生懸命作ったのだ。

何回も何回も、混ぜて焼いた。本当に頑張った!

いるかがやっと笑顔を向けると、春海も、人心地ついたのだった。

さてそうなると、彼の心にムクムクとわき上がってくる思い。

・・・コレくらいは、言ってもいいよな。

春海は、いつものようにいるかの頭の上に、ポフッと手を置くと、顔を覗き込み言った。

「お前さ、気づいてるか?初めて2人で写真とるんだぞ。」

「そうだっけ?」

・・・やっぱり気づいてなかったか・・・はぁ。

「そうだよ。それもあって優勝したんだぞ。」

少しすねた顔で彼は言う。

「へ?・・・あはは。春海、おめでとう。そっかぁ、初めての写真なんだぁ。」

きょとんとした顔で春海を見上げながら、やっといるかは、心からおめでとうを伝えた。

「ああ、だからさ。良い思い出にしたいんだけど。」

春海が、そう言いながら右手を差し出すと、

「うん。」

いるかは満面の笑みで、彼の掌に、自分のそれをのせたのだった。




「もう少し近づいて、はいチーズ。」

顔なじみのカメラ同好会の生徒は、絵になる2人の撮影を、一枚で終わらせる気は無いらしい。

せっかくだからと言って、シャッターを切り続ける。

いるかと春海も、楽しそうに笑顔でカメラに向かっている。

そんなフラッシュが光る一角を、巧巳と玉子はぼんやりと見ていた。

試食から撮影までの一連。

ある意味見慣れた?甘甘なやり取りは諦めて・・・。

アレを旨い?旨いって・・・春海って、どんだけいるかに惚れてんの(だ)~~~~!

彼らはもちろん、彼ら以外も、声なく叫び続けたのだった。

文化祭~黒~終わり


スポンサーサイト



~文化祭~Xday 黒 ⑧~

こんばんは~juniです。

アホな私は挿絵をアップするのを忘れていました。
ごめんなさい m(_ _;)m

今現在はイラスト入ってます。


mameより

ご訪問ありがとうございます。
~文化祭~Xday 黒編も、この次が最終話です。

話の都合上、今回は短めになっております。
宜しければ、お付き合い下さいませ。


~文化祭~Xday 黒 ⑧~

「さあ、我が~ベルばら~のマリー姫の手作りケーキ争奪、腕相撲大会も決勝戦となりました。」

さすがに決勝戦、レフリーの口上が教室内に響く。

「優勝者には、マリー姫からのケーキの贈呈と試食、ベルばら内希望者とのツーショット写真の撮影があります。」

春海は、聞けば聞くほどムカつくその内容に、眉間にしわを寄せ、不快感を露にした。

巧巳は「手作りケーキにツーショットかぁ。」と口走り、わざと春海を煽る。

彼は、怒りをぶつける相手をみつけたと、観客も慄くほどの黒い殺気を、巧巳に燃え立たせた。

巧巳は内心・・・怖ええ。本気で睨み殺されそうだな・・・と思いつつも、どこ吹く風と受け流す。

すでに心理戦は全開である。

「さぁ東条選手、山本選手、手を組み合って。」

レフリーが促すと、巧巳と春海はガシッと手を握り合った。

一触即発である。

「準備はいい?」

彼女はそう言い、春海と巧巳、双方と視線を交し合って確かめる。

「いいわね。それじゃ・・・・・レディーーーー・ゴー!」

大きな掛け声と共に、勝負はスタートした。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

双方無言で、握り合った両手が小刻みに震える。

その様子で、今までの勝負とは、一味も二味も違うことが観客には伝わっていた。

山本と東条は、今まで本気を出していない。今がガチンコの真剣勝負!

額ににじむ汗、交わす視線に火花が散る。

「山本会長、頑張れ」「東条、頑張れ!」

沸きあがる歓声と熱気が、喫茶~ベルばら~を満たす頃、青筋のたった両手が動き出した。

最初に均衡を破ったのは、春海だった。

まず、巧巳の手の甲が、台面に近づく。

「おし・・・。」

巧巳が今日始めての本気の声を出して、ぐんと押し返すと、会場からも「東条~~~~。」「巧巳く~ん。」の声が沸いてくる。

そのまま彼は、春海の手の甲を台面に押し付けようと力を込めた。

「く・・・。」

春海は小さく言うと、力を受け止め、目を閉じて腕に集中した。

莫大なその力は、巧巳の手の甲を、台面に押し付けようとさえしていた。

・・・くそっやばい!・・・巧巳は心の中で舌打ちする。

苦しさを顔に出したら負けだ。勝負どころはここか?

彼は、目を閉じたままの春海に、軽く囁いた。

「いるかは、俺に優勝してほしいんだってさ。」

はっ!と春海が顔を上げ、一瞬腕の力が緩んだ隙に、巧巳がぐっと力を入れる。

ぐんと半円を描いた両手は、春海の手の甲を一気に台面へと向かわせた。

「くそ!」

春海は小さく言うと顔を伏せ、ギリギリの所で持ちこたえる。

・・・くそ、負けられるもんか・・・いるかが・・・俺以外のやつに優勝してほしくても、いるかの何もかも、誰にも、渡さない。

どうする?

どうすれば・・・・・。

ゆっくりと顔を上げ、春海は、尊敬する先輩の名を呼んだ。

「東条さん。」

その酷薄な笑みと、笑わない目。

巧巳の背筋に寒気が襲う。

「来年は、東条さんの女装で決まりですね。僕と、ラブシーンでもしますか?」

いるかちゃんヨロシク画像 いるかちゃんヨロシクイラスト いるかちゃん山本春海


彼は、さらりと小さく言った。

「なに!?冗談じゃない!?」

巧巳が言い返した時には、2人の勝負は決着していた。

~文化祭~Xday 黒 ⑨最終話につづく~

~文化祭~Xday 黒 ⑦~

こんばんは~juniです。
続きをアップしますね。

この次は挿絵付きでアップ出来そうです。
(以前描いたイラストを描きなおしました。もとの絵は・・・のアイデアです。)

ではどうぞ~


~文化祭~Xday 黒 ⑦~

マリー姫手作りケーキ争奪 腕相撲大会の準決勝のメンバー4人でくじ引きがなされ、山本 対 オスカル、東条 対 ロザリーの試合が決まった。

最初に、山本 対 オスカル戦。

あっけなかった。

山本 対 オスカルは、実に、あっけなく終わった。

レフリーの声がかかり、春海が「加納先輩、申し訳ありません。勝たせてもらいます。」と、微笑んで言った時には、勝負は決まっていた。

加納が返事を返す間さえなく・・・終わった。

もう一つの準決勝、東条 対 ロザリー戦。

レフリーの声がかかると、玉子は懇親の力を込めた。

「へぇ、お前意外と強いんだな。今までで、一番手ごたえあるんじゃないのか?」と、巧巳が驚きの声を出す。

あっという間に巧巳の腕は傾き、後少しで台面に着きそうな勢いである。

その様子に、観客からは「頑張れロザリー。」「東条行け~。」と声援が飛び交い、先程とは打って変わって盛り上がっている。

その声援の中、巧巳は、自分が握っている玉子の手首に目をやり、はたと気づいた。

・・・確かに、力は結構強い、強いが・・・「玉子・・・意外とお前の腕、華奢なんだな。」

試合の為、顔を近づけていた玉子にしか届かなかったその声。

「えっ」と玉子が顔を上げた瞬間、「勝利!東条巧巳」の声が響き、勝負は決していた。

不完全燃焼な玉子は、試合が終わるや否や、巧巳に食って掛かった。

「巧巳ずるいよ。突然あんなこと言って。」

・・・そりゃ勝てるとは思ってなかったけどさ・・・。

「あ、すまん。わざとじゃなかったんだ。」

自分を恐れずに見上げる彼女の姿に、春の日の1シーンをダブらせながらも、手の中に華奢な右手首を感じる。

「・・・そう。でもさ、わざとじゃなくても、勝負中にあんなこと言うなよ。」

あまりに素直に謝られ、肩透かしを食った上に、どこか心ここにあらずに見える巧巳。

「もういいけど、春海との決勝、絶対勝ってよね。」

「ああ・・・って、どうしてだ。」

玉子の一言に、なぜか一瞬、心がざわついた巧巳であった。



玉子から理由は聞いた。何ともいるからしい。

春海にケーキを食べられたくない。その為に勝ってほしい・・・少し複雑だが許可も下りたことだし、ここまで来たら本気で優勝を狙うのもいい。

俺なら、こいつの瞬発力にも、力にも負けない自信がある。

高等部で、こいつに負けてばかりなのも癪にさわる。

巧巳は、正面に座る春海を強く見た。

やる気満々の巧巳を睨み返しながら、春海は決意を新たにする。

いるかの嫌がる理由は、結局判らない。

それでも、手作りケーキとツーショットは渡せない・・・特に、巧巳にだけは。

いるかのキス・・・。

くそ、絶対にこれ以上、誰にも何も渡すもんか。絶対渡さない。

衆目の中火花を散らす2人を中心に、喫茶~ベルばら~内は、異様な盛り上がりを見せていた。

もう一つの最高カード、山本 対 東条戦での決勝戦。

その上、朝の「人魚姫」の舞台の事もある。

運動神経抜群、甲子園のスター2人の真剣勝負に、興奮しないわけが無い。

たかが腕相撲されど腕相撲に、教室中が燃え上がっていた。

そんな中、冷静気味の女子が2人いる。

加納と玉子である。

勝てるとは露ほども思っていなかったが、あんなにあっさり負けるとやっぱり悔しい。

いい勝負のように見えて、余裕綽々だったのを身をもって感じていたので、尚更あの負け方は悔しかった。

「ねぇ、どっちが強いと思う?犬養さん」

「そうですね。力では殆ど差はないと思いますよ。」

周囲に聞こえぬよう、耳打ちしながら話し合う。

加納と犬養は、今日の腕相撲大会の為に、秘密練習をしていた。

練習相手はお互いと・・・いるか。

玉子は少しはいい勝負だったが、結局、本気のいるかには勝てなかった。

純粋に力のみの勝負で、いるかに勝てる者はいるのか?と、本気で思ったものだ。

「春海と・・・巧巳ならどうだろ。あの2人には、あたしも勝てるかどうか分かんないよ。」

もともと、あの2人と勝負になることが、規格外だと思うのだが・・・。

いるかの言葉を思い出しながら、加納と玉子は会話を進める。

「体力的には、巧巳の方が余裕があるのかしら。山本君は、一瞬でも、大石君と本気で対戦してるけど、巧巳は全試合、本気は出して無かったでしょう。」

「やっぱりキャプテンはお見通しですね。」

腕を組みながら思考し、加納がまず玉子に言った。

「私は巧巳が勝つと思うわ。順当に考えて。」

「・・・あたしは、順当にいくのなら春海だと思いますよ。いるかも絡んでますし。」

加納は、頭半分ほど小さい玉子を見て問うた。

「どうしてそう思うの?山本君の、嫉妬の馬鹿力とか?」

「プッ!いえ、あの2人は力は同等ですけど、今回の勝敗は意外とココかもって。だから、巧巳に一計を。」

玉子は、人差し指で自分の頭を指差しながら加納に言う。

「・・・なるほどね。一理あるかもしれないわね。とにかく勝負が楽しみだわ。」

各々の意見を交換しあった二人は、教室の真ん中で今日最高の盛り上がりを見せている、腕相撲大会の決勝戦へと視線を戻したのだった。

~文化祭~Xday 黒 ⑧へつづく~


~文化祭~Xday 黒 ⑥~

こんにちは。
mameでございます。

前回は大変申し訳ございませんでした。
お許し下さい。

ご容赦下さった方々へ
もし宜しければお付き合い下さいませ。


~文化祭~Xday 黒 ⑥~

腕相撲ロボット、腕相撲アンドロイドが、もしも、もしも世界に存在するなら、こんな感じだろうか?

気づいた時には、負けていた。

里見学習院生徒会長、山本春海の試合相手の感想である。

底知れぬ冷たさを漂わせ、顔色一つ変えず、無表情に一瞬で勝負を決める。

まさに瞬殺である。

一方巧巳は、涼しい笑顔で、マイペースで勝負を決めていた。

「勝っちまったよ。」などと言いながらも、負ける様子は感じられない。

教室のど真ん中では、今回一番の優勝候補、校内一の大男で柔道部キャプテン大石が、一般男子生徒をばったばったと盛大になぎ倒し、

「俺に腕相撲で敵うやつがいるわけが無いだろう。マリー姫の手作りケーキも、ツーショットも俺のもんだ。」と、大声で叫んでいる。

この声が春海に聞こえぬわけが無く、一瞬湧き上がった殺気に、その時の対戦相手が震え上がったのは言うまでも無い。

教室の前方では、代理選手のオスカルとロザリーが、一応女子ということで、ハンデ付で試合をしていた。

男子は、オスカルとロザリーの手首を持ち試合をするのだが・・・あまりに見事な勝ちっぷりに、ハンデは要らなかったのではないか!と思うほどだ。

それでも男の面子だろうか、誰も否は唱えない。

つまり、春海、巧巳、オスカル、ロザリーは、極順調に勝ち進んでいた。



「じゃんけんポン」「じゃんけんポン」

同じ代理の戦いは、本人のじゃんけんで決まる。

オスカルとロザリーの2人は、戦わずして準決勝進出を決めていた。

いち早く準決勝進出を決めていた巧巳が、「おめでとう。」と2人に声をかける。

その頃教室のど真ん中では、今大会最高のカードの一つ、柔道部キャプテン大石 対 生徒会長山本春海の対戦が始まろうとしていた。

「春海、無理は禁物だよ。」

玉子が声をかけるが、返事は返ってこない。

冷静なようで、一部の人間から見れば、どう見ても”先程の言葉”で怒り狂っているのが判る。

あ~あ、頬を人差し指で軽くかきながら、マリー姫を見てみれば、彼女は、一番実現してほしくない試合に、おろおろしていた。

その様子が気になり、玉子はいるかの隣に行き、小さな声で話しかけた。

「いるか、春海なら大丈夫だって!」

「春海が・・・負けるなんて思ってないよ。でも、勝って欲しくもないんだもん。」

「はい?・・・言ってる意味が解んないんだけど。」

もとから、優勝者は春海のつもりだった・・・とは言えない空気。

なぜならば、他の誰が優勝しても、血の雨が降るだろう。

「だって、あんなの・・・春海に食べさせたくない!それに、怪我とかしたらって・・・。」

・・・なるほど。

返す言葉が見つからない。確かに、彼氏に、真っ黒なアレは食べさせたくなかろう。

「春海にそれ言ったの?」

「無理はしないでってだけ・・・だって、ケーキ真っ黒だから出ないでって言える?」

玉子は再び無言でいるかを見た。

あたしがこいつの立場でも、言いたくないだろうし・・・言っても、あやつは出るだろう。

結局、春海以外の誰かが勝つしかない。

「大丈夫だって。あたしや先輩は別として、あの大男が相手だよ。もし勝ってもさ、さすがの春海もアレの後だよ。巧巳もいるし、何とかなるって。」

「そうかなぁ・・・。でもとにかく、春海がアレを食べるのは嫌だよ~。」

・・・いるかって、案外、女の子なんだよね。こういうとこ可愛いや・・・不安顔で春海を見るいるかを見て、玉子は思う。

そんな2人のもとに、女子サッカー部の先輩達(近衛兵姿)が歩み寄った。

「さぁ、マリー姫はお色直しですよ。ケーキを手渡す相手は後のお楽しみです。ロザリーは、準決勝があるのだから向こうへ。」

彼女らの有無を言わさぬ空気に、いるかは後ろ髪を引かれながらも、その場を離れるしか無く、玉子も見送るしかなかった。



・・・やりにくいな・・・。

順々決勝の対戦相手をみて、彼が思ったのはそれだけだった。

負けそうだとか、強そうだなとは考えもしない。

春海は、正面に悠々と座り、勝利を確信したように彼を見下ろす大男を見て考える。

理由は判らないが、いるかは俺が、この腕相撲大会に出る事さえ嫌だったようだし、対戦相手は、運悪くあの時の柔道部だしな。

こいつさっき、いるかの手作りケーキとツーショットが俺のものだとか言ってたな。一度、軽く殺しておくか。(もちろん気合です。)

武道者だし、力の差に気づけばよし、そうでなければ・・・。

声に出せば、周りの血が引きそうなことを淡々と考える目の端で、いるかがサッカー部の先輩達と共に、別室に移動するのが見えた。

フッと笑いがこみ上げる。

その不敵な笑みに、柔道部キャプテン大石は、ムッとした顔で春海を再び見下ろした。

「さぁ始めましょうか。遠慮はいりませんよ。」

先輩である大石に、言葉だけは丁寧である。

「怪我をしても知らないからな。」

対して大石も、負ける気などさらさら無いらしく、ぶっとい腕を差し出した。

春海も、スッと台面の机に腕をだし、構えを取る。

レフリー役の部員が、2人の手を握り合わせ、その上に手を乗せた。

周囲に陣取った見物客と、巧巳、玉子、加納の面々は、今日、最高ともいえる試合に集中する。

観衆が、大石の完全勝利を予感する中、彼らだけが試合の展開を楽しんでいた。

レフリーが両者の顔をかわるがわる見、準備が整ったのを確認して、

「レディー・ゴー!」

彼女の大きな声が響いた瞬間。

ドン、ガララン、ドォォォ~~ン、ドサ!!

盛大な音と同時に、大男は、皆の目の前から消えていた。

大石の巨体が、肘から先だけを残して、椅子から滑り落ちている。

彼の右手の甲は、台面にびったりと着き、その上に、自身の手をのせた春海が、何事も無かったかのように、泰然と、座っていた。

観客は声も出せず、何が起こったのか把握できない。

負けた本人でさえ、茫然自失である。

その中で、巧巳・加納・玉子だけが、全ての動きを捉えていた。

あまりのスピードと瞬間の大きな力に、大石はついていくことも、耐える事も出来なかった。

「しょ・・しょ・・しょ・・うり・・山本春海」

レフリーは驚きで口ごもりつつも春海の勝利を宣言し、彼の準決勝進出が決定したのである。

~文化祭~Xday 黒 ⑦つづく~

~文化祭~Xday 黒 ⑤~

こんばんは~juniです。

昼は暑く夜は冷える気候に体調を崩しました。
皆様もお気を付けください。


~文化祭~Xday 黒 ⑤~

4人そろって廊下に出たとたん、色めき立ち、騒がしい周囲に、玉子は頭痛を覚えていた。

飽きることなく繰り返されるそれら。

すれ違ういるか(と玉子)の姿に、「おぉ~~~」と男子生徒が声を上げれば、春海が睨みつけ、彼らは黙り込む・・・が。

そんな春海の姿が、一部の女子には堪らないらしく「はぁ~~~~」と見とれたり。

良家の子女は、軽い不良には弱いのか・・・不良と避けていた数ヶ月前とは手の平を返し、「東条く~ん、似合ってる。」と、球技大会以上の声援が飛んできたり。

対して、微笑みかえす彼の姿は、羊の皮を被ったホストにしか玉子の目には見えず・・・。

後ろをついてくる生徒は徐々に増え、先頭の4人は、団体旅行のツアコンのようである。

「はぁ・・・。いるか、どこ行く?」

玉子は、辟易気味にいるかに問うた。

「う~ん。まずは、お昼ご飯食べたい。その後は、マキちゃん達の出展に行きたい!」

「ご飯って、さっきアレだけ食べた・・・あんたにゃ全然足りないか。あたしも1人分しか食べてないし・・・まずは腹ごしらえ、その後に、実行委員会のテントに行ってから、マキのところかなぁ。」

「うん。早く何か食べよう。お腹空いちゃったよ。」

見た目愛らしく華やかな女子高生とは思えない会話に、イケメン執事らは苦笑いしながら、

「うどんはあちらですよ。」

「焼きそばはこっちだぜ。」と、指差した。

彼らの言葉に、お姫とメイドはニヤッと笑いあい「どっちも!」っと叫んだのだった。



お腹を満たし上機嫌ないるかと玉子、2人の笑顔に満足な春海と巧巳は、まずは文化祭実行委員会のテントに向かった。

そして、アンケートの集計状況、体育館舞台の進行状況などを確認する。

現場の委員達のやる気と熱気も体感し、後夜祭までの簡単な打ち合わせをして、その場を後にした。

その後はいるかご希望の、マキ達文化部の合同出展に向かっていた。

そのうしろを、先程までの里見の生徒に加えて、どう見ても一般観覧者と思われる面々がついてくる。

今やその数は、膨れに膨れ、数十人になっていた。

割りきって楽しむ1人。

自分は関係無いと思っている1人。

やっぱり慣れない1人に、苦々しく思う1人。

・・・さっきまでと比じゃないな。まだ生徒の方がカワイイもんだ・・・。

里見の生徒はまだいい。後から加わった一般観覧者の大胆さに、春海は神経を尖らせた。

移動しながらも、あっちこっちと楽しそうに動き回るいるかに、微笑ましさを感じる暇が無い。

隙あらば!と彼女に近づく者や、隠し撮りをしようとする者などを抑える為に、四苦八苦している。

当のいるかは彼らのことを、甲子園のスターの追っかけ(実際、含まれてはいるのだが・・・)くらいに思っていた。

小学生!チビ!チンクシャにチビスケ!言われまくって十数年、男子の視線の先に自分がいるなど想像さえ出来ない。

確かに、倉鹿でのウェストサイドの時は可愛いと言われたが、それは遠い過去。

里見では毎日のように、同じ部員や周辺の運動部から、怪物だの怪力だの言われているのだから・・・。

その結果と天然の鈍感さで、自分への注目も、その視線の相手を射殺す視線にも、それを楽しみつつも・・・不憫だね・・・と言わんばかりの2人の視線にも、まったく気づいていない。

当然春海は、巧巳と玉子のそれに気づいて苦々しく思ってはいるが、今はそれどころでは無い。

とにかく、大量の害虫駆除に大忙しである。

そんな4人と後ろを連なる一団は、ようやく文化部の出展近くにたどり着いた。

合同出展ということで、大教室1つと2つの教室を使用したブースは超のつく人気で、驚くべきは、女子サッカー部の~ベルばら~を超えていた。

「何これ!?」

最初に驚きの声を上げたのは、もちろんいるかであった。

「凄いね。一番人が多いんじゃないの?」とは玉子。

「そうだな。」と春海。

「想像とはえらい違いだな。」と、ある意味失礼な物言いの巧巳であるが、他より高等部に長く居たからこその発言だろう。

もともとの大人気に、彼らが引き連れた人間が加わって、もの凄い人だかりである。

その中で、一番奥の教室から、何故か途切れ途切れに。

「わぁ~~。」と大きな歓声が聞こえたり、「どわははははは!」と笑い声が響いてくる。

何となくだが、嫌~な予感が、春海と巧巳だけを襲った。

この雰囲気には、覚えがある。それも極々最近。

「わぁ、来てくれたのね。廊下が騒がしくなったから、もしかしたらとは思ったけど。」

突然増えた見学者にマキが廊下に首を出し、いるか・春海・玉子・巧巳の目立つ4人に気づき、声をかけた。

「凄いじゃん。」

「凄いね。」

玉子といるかがマキに言う。

「そうでしょ。それもこれも、皆のおかげよ。」

その一言に「ああ・・・」と執事達は頭を抑えた。

察しの良い玉子が「ああ!なる程ね。」笑いながら言うと、「何の話し?」といるかが目を見開く。

「どうぞ、ゆっくり見て行って。どれもこれも力作よ。」

それぞれの反応を楽しみながら、マキは答えたのだった。



4人だけで、第一番目の教室に通された。

後ろに続いていた団体は不満の色を見せたが、どう見ても教室に入れる数ではない。

「せっかくだから、あなた達だけで入ってよ。それにね・・・とんでもないことになりそうだし。」

マキは、一団をチラッと見て言った。

彼女の言葉の訳を、彼らは中に入ってすぐに理解した。

そこある数々の写真。

「そういや、練習中、カメラ同好会がずっと一緒だったな。」

巧巳が一言言った。

眼前にひろがる「人魚姫」の練習中の彼らの姿。

衣装合わせをした時の写真や、舞台練習のもの。

笑ったり、しかめっ面をしたりと、様々な、そこに写っている本人でさえ知らない姿。

とても豊かな表情が並ぶ。

「俺らのことは気にしなくていいから。」と、確かにシャッターを切っていた。

最初は違和感を感じていたが、いつの間にか気にならなくなっていた。

それ程彼らはずっといたし、とんでもない数の瞬間を切り取ったのだろう。

その中からの選りすぐられた数々の写真に、4人は魅入った。

「頑張ったもんね。みんな良い顔してるね。」

いるかが口を開く。

「ああ、そうだな。」

春海が、一生懸命にセリフを覚える、いるかの写真を見ながらそう言った。

展示の最後を飾るのは、写真同好会・家庭科部・美術部合同力作の「人魚姫」のポスターであった。

ひと際大きな写真の横には、衣装と背景が展示されている。

見ごたえのあるそれらに、彼らが魅了されたのは言うまでも無い。

しかし、後に控える見学者のこともあると、後ろ髪を引かれながら、4人は第一の部屋を後にした。



次の部屋の入り口に立った途端、1人の笑い声が響いた。

「あは、あははははっ」

堪らないと笑う玉子の前には、ある物が展示されている。

題名は・・・「現物」である。

いるかも気づき「きゃははははは!」と笑い出し、春海と巧巳は渋い顔でそれらを見た。

蛍光塗料の塗られた数個のボール、苦々しい記憶が執事2人に蘇り、ついつい睨み合う。

そんな男連中をそこに置き、中へと進むいるかと玉子である。

「うわぁ・・・。」

2人の声が外まで響いてくる。

その声に「はっ!」とした春海と巧巳が後を追うように中に入ると、すぐさま春海が、感嘆の声を漏らした。

「人魚姫の世界か・・・教室じゃないみたいだ。」

全体を青い布地が覆う中、大きな水泡とも見まがうモノが、様々な方向から螺旋を描き降りてくる。

数個の螺旋が連なった大きな螺旋には、天井からライトが落とされ、中心には、人魚姫のラストシーンの衣装が飾られていた。

四方には薄暗い中に光が灯され、「人魚姫」の舞台の世界と、小道具の数々が中に浮いている。

神秘的に光る玉と深海の老婆の大道具が見え、各所では出演者の衣装が彩を添えていた。

「うちの文化部って、実は凄いんだな。」

巧巳が言うと、無意識に頷く3人だった。

ここまでくると最後の部屋・・・大教室が大変気になる4人である。

初めの2部屋とは、雰囲気が大変異なる気がするのは、多分に気のせいではない。

~後方からお入りください~と書かれているにも関わらず、反対のドアに案内されたのも気になる。

教室から変わらず響く、歓声?いや笑い声に、春海と巧巳の足が止まる。

これは勇気がいる・・・正直な2人の気持ちをよそに、玉子といるかはガラッとドアを開けた。

開くはずの無い入り口からの入場者に、大教室全員の視線が集まった。

ざわざわっと一瞬波が立ち、4人が誰なのか気づくや否や

わぁぁぁぁ!!!きゃーーーーー!!!最高!!!やんや、やんや!!!ぴーー!ぴーー!と、ありとあらゆる歓声が溢れる。

薄暗くされた大教室には、3つのモニターが並び、真ん中は「人魚姫」の舞台全体を正面から映し出していた。

左右には、同時に映したと思われるアップ映像が並び、出演者の姿、表情が克明に映し出されるようになっている。

遠目では見えなかったいろんな部分・・・呆けた王子の顔や、怒れる隣国の姫。

何よりも人目を引くのは、愛らしい人魚姫の姿。

今日一日、何度目の上映となるのか、繰り返されても満員の会場に、飛んで火にいる夏の彼ら・・・。

今日最高の盛り上がりに、マキ他文化部の面々は大満足である。

いつ終わるとも知れない歓声に、早々に会場を逃げ出したのは、もちろん男2人で。

いるかと玉子は大きく手を振り、更に大きくなる歓声の中、悠々と大教室を出て行った。



「素敵な展示で、凄く良かったね。みんな・・・本当に大好きなんだね。」

文化部合同出展を離れ、一息つくなりいるかが言った。

玉子も笑いながら頷いた。

渋い顔の春海と巧巳も、それには「そうだな。」というしかない。

少しは苦情を言いたい所だが、それを越す感動を彼らに与えたのだから、大大、大成功には違いない。

まだまだ余韻に浸っていたいところだが、いつの間にか結構な時間が過ぎ、いるかと玉子の2人が、~ベルばら~へ戻る時間に程近くなっていた。

「あ~あ、もうこんな時間だよ。いるか、戻んないと。」

「もう45分か。楽しいと時間がたつの早いね。」

玉子がいるかに告げると、見るからにガッカリした表情でいるかが答える。

・・・と同時に、いるかのそばにいた春海から立ち上った黒々とした殺気に、執事とメイドは慄いたのだった。

いるかちゃんヨロシク画像イラスト 山本春海


~文化祭~Xday 黒 ⑥へ続く~
プロフィール

juni+mame

Author:juni+mame
「いるかちゃんヨロシク」の二次創作サイトです。
 <mame二次小説/juni イラスト>
当サイトはリンクフリーです。
当サイト内の画像や文章の転用転載をお断りいたします。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
月別アーカイブ