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「いるかちゃんヨロシク」大好き!のmame+juniが運営しています。

~秘密~ショート

juniです~。

mameさんからのショートです。

ではどぞ~。



~秘密~

「見たぜ。さすがのお見立てで。」

巧巳の言葉が指している物が、春海には分かる。

いるかの胸を彩る、優しい桜色のネックレス。

からかう気満々のセリフに、春海は目の下を薄く反応させながらも、「助かったよ。」と礼を言う。

その、義理堅い彼らしい返事に巧巳が、

「俺のほうこそサンキューな。まっ!お互い様ってことで。」

そう軽く返すと、2人は笑いあった。



いるかと分かりあった、2学期末試験の放課後。

その後のプロポーズ。

心底驚きながらも、いるからしい真直ぐな言葉に、躊躇いなく「喜んで。」と、言葉が出てきた。

本当は・・・俺が言いたかった。まぁ、遠くない未来に言うつもりだが・・・。

それでも素直に喜べたのは、今まで語らなかった彼女の、心からの言葉だったから。

だから・・・何か残したいと思ったのか?

いつも彼女の傍らにいたい、自分に代わる何か。

高校生活には限りがあって、大学生になれば、各々の時間が増えるのと反比例して、2人の時間が減ってしまう。

避けようのない、必ず訪れる現実だ。

だからといって距離を作る気も、手を放す気も毛頭ない。

ただ、せめて消えない2人の誓いの証を。

彼女の華奢な指を飾る物も考えたが、それは、先伸ばしにした。

そして、もう一つの理由。

それが、春海が巧巳に持ちかけた”内緒の相談”の発端。



「学校にばれないようにアルバイトがしたいんだ。俺の周囲で経験がありそうなのは、巧巳くらいだからな。」

まるで蛇の道は蛇とでも言いたそうな物言いに・・・このやろー・・・と思いつつ。

「確かにな。」と返す。

この超エリート有名校(ボンボン校とも言う。)で、アルバイト経験のある者など、そうはいない筈だ。

アルバイト等という、概念が無いのかもしれない・・・。

かく言う自分も、去年の騒ぎが無ければご多分に漏れず。

だからと言って、停学中にやっていたそれらを、春海に紹介する訳にも・・・。

ちょっとやばい店のウェイターや・・・まぁいろいろ。あの時分は、付き合った相手が・・・あの連中だし。

・・・停学中、小遣いストップだったしなぁ・・・などと、あの頃を思い出す。

・・・普通のやつなら何とかなるが、春海に似合いのアルバイト・・・ねぇ。

こいつはきっと、どんなバイトでもそつなくこなすだろう

しかし、如何せん顔が売れすぎている。

夏の甲子園も、そう遠くない記憶だしな。

「いろいろと・・・難しいな。」

「・・・それは解ってるんだ。だからこそ巧巳に相談してるんだろ。」

・・・何事も自分1人で解決しようとする、こいつの悩み事だからな・・・何とかしてやりたい。

普通なら簡単だが、こと春海相手なら難しいぞ。

「いるかと玉子を見習って、食堂の兄ちゃんするとか・・・。」

巧巳の言葉に、春海は目を座らせた。

「いるかにばれない様にしたいんだ。」

「へぇ・・・あぁ、成程ね。」

・・・おっと・・・。

沸き立つ黒い空気に、思わず巧巳は口に手をやる。

「相談相手を睨むなよ。」

「相談相手!ならな。冷やかしはいらないぞ。」

彼なりに、真剣に考えた末での、巧巳への相談なのだろうことが察せられる。

結果・・・回答は翌日に持ち越されたのだった。



翌日、部員の去った野球部室。

「春海、ちょっと聞きたいんだが、お前の弟、徹・・・君だったか?中学校はどこに進学するつもりなんだ。」

突然の巧巳の質問に、春海は面食らいながらも・・・。

「・・・里見学習院中等部を受験するって言ってたな。」

ちょっと間を置きながら答えた。

「そっか、やっぱりな。」

・・・ブラコンっぽかったもんなぁ。まぁ、俺も似たようなもんか・・・。

想像通りの返事に、巧巳はゆっくりと顎に手をやる。

「・・・困ったことに正美がさ、お前んとこの弟と、一緒の中学に行きたいって言うんだよ。諦めろとは言ったんだよ。」

ことさらゆっくりとしゃべる様は、

「正美は・・・手術して元気になったとは言っても、まだ無理がきく体じゃない。中学受験なんて!と、心底思うんだがさ。」

着陸地点を模索するように、

「進学塾はまだ無理だから、家庭教師が必要なんだ。・・・なぁ、どう思う?」

巧巳は、”どうだ?”と、春海に視線を送った。

意図するものは解る。

「・・・俺で良ければ、家庭教師をやるよ。」

巧巳は春海の返事に待っていたとばかり、

「決定だな。」

一言笑った。

しかし、彼から振られたとはいえ。

「本当に良いのか?」

春海は、偽りの無く気持ちを言う。

・・・俺の為にわざわざ?

「いや、マジに俺も困ってたんだよ。まだ無理だって言っても、”絶対、徹君と同じ中学校に行く”って聞かないし。」

”参った”という顔に嘘はない。

「”全部辛抱して来たんだよ。ずっとずっと・・・”って泣かれてみろよ。それに正美は可愛いからな。いろいろ心配だろ。でも、お前なら安心だ。」

”妹の体調への心配”と、”そんじょそこらの奴に、可愛い可愛い妹を預けられない”・・・そんな、兄の事情。

昨日の彼の言葉を思い出す。

「俺にも最近悩みがあってな。今の話、最高のタイミングだったよ。」

・・・なるほどな・・・。

「正美ちゃんとは知らない仲じゃないし、体に無理のかからないよう、気を付けながら勉強を教えるよ。」

彼らの悩みは解決した。

「ヨロシク!」

2人は、朗らかに握手を交わしたのだった。

~秘密~終わり



春海らしい~(〃⌒ー⌒〃)ゞ

追記:近日イラストアップします~ヨロシクっすm(._.)m


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