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「いるかちゃんヨロシク」大好き!のmame+juniが運営しています。

~春~ 最後の冬(完結編)

こんばんはjuniです。
お久しぶりでございます。

あっという間に~ w( ̄▽ ̄;)w 11月になりました。
先月は本当にすみませんでした。


早速ですがmameさんの新作をアップします。
お休みの間に書いたそうです。

ではど~ぞ~。



~春~

「おい、顔が緩みっぱなしだぞ。」

「幸せ駄々漏れだな。」

一馬と進がのたまった。

・・・こんな春海見たことねぇ!・・・。

その・・・余りにあまりな表情(笑)に、突っ込みは続く。

「何か良いことあったのかなー春君?」

一馬は春海の肩に肘を乗せながら問うた。

「あちらの誰かさんがらみか?」

進は、5m程離れた場所ではしゃいでいる少女らの一人を一瞥する。

言わずもがな・・・ではある。

が!ここまでデレデレな春海を揄わずにいられようか!

否、ありえない!

「いやぁ、おめでとう。」

「手の早いお前にしたら、よく頑張ったよ。」

2人はわざと顔を近づけ囁いた。

・・・くそっ!バレバレだ・・・。

春海は、今回限りは、今回に限ってだけは、倉鹿に帰ることに気乗りしていなかった。

いや、はっきり言って帰りたくなかった。

せめて、自身が落ち着く?まで。

しかし・・・。

「夏休みにゆっくり戻ればいいだろ。」

春海がいるかに言うと、

「・・・どうして?」

きょとんとした目で問い返されて。

・・・言えねぇだろ!お前と・・・な関係になったからだなんて・・・。

故に、ココに居る。

2人の激しい揄いに、それこそ一気に何度ものぼった血も、幸せそうないるかが目に入ると・・・途端に溜飲が下がるというか、表情筋が緩んでくる。

極めつけは、恋愛事には鈍感な兵衛に、

「春海、いるかがらみで良いことでもあったのか。」

朗らかに言われる始末だ。

・・・俺は今、どんな顔をしてるんだ。くそ!・・・。

もし、もしもだ・・・そんなに幸せなのか?と問われれば。

YESとしか言いようが無い。

肉親も親友も、誰も知らないいるかを手に入れ・・・そして・・・思いきり愛し、愛された記憶がある。

その喜び、安堵感、充足感は表現が難しい。

いや、出来ない。

そして、深まる気持ちに比例して、持て余す”ある”思い。

「お前らはどうなんだ。」

進、一馬、兵衛に向かって春海が言い放った。

だいたい、俺のこの状態に”羨ましい”との感情が一切見えないところからして、問う必要もないのだが。

「俺は、片思い卒業からずっと、言うこと無しだ。」

「・・・上々かな。」

「充分だ。」

物言いだけは余裕?ながら・・・。

実を言えば”最初から尻に敷かれ””彼女の優しさに首ったけの””お付き合いすることになり幸せ絶頂期”な一馬、進、兵衛である。

各々の大切な存在を見つめ、互いに視線を交わす。

問わずもがな。言わずもがな。惚れた弱みよ。

苦笑いながらも、良い笑みだ。

そんな彼らから、視線をいるかに移しながら、春海が呟いた。

「・・・最近さ・・・結婚したいっていう男の気持ちが解るよ。」

ブッ!!!

3人が思わず吹き出した。

「春海!お、おまえ突然、なんちゅうこと言うんだ。」

一馬の叫びに進と兵衛が頷く。

春から大学に通う若者とは、到底思えぬ発言だ。

目を見開きながら、春海の顔を注視した。

一昨年の家出事件の後、「いるかにプロポーズされた。」と聞いた時も、確かに驚いた。

しかし、いつも突拍子もない事をする”いるか”だからこそ、納得も出来た。

だが、たった今、目の前にいる春海の言動と状態は・・・幼い頃を知るだけに、尚一層の驚きを3人に与える。

確かに・・・昔から時々、彼らしからぬ言動が飛び出すことはあった。

が!

いるかが絡むと、こうもぶっ飛ぶか!!!

聞いているのかいないのか、ボーッといるかを見続けながら、春海は再び口を開く。

「毎日、目覚めれば横に居て、家に帰れば・・・。」

彼の言葉が途切れ、

「ただいまーって迎えてくれる!・・・か?」

その後を、進が引き取った。

・・・ふだんは怖いくらいクールな奴なのに・・・。

「ま、解らないでもないけどな。」

・・・それだけの奴に出会ってるからな・・・。

そう言いながら、彼も意中の少女に目を向けた。

何も知らぬ他人ならば、青臭く思えるだろう。

一馬と兵衛も、各々目を向ける。

「確かにな・・・。」

その奇跡のような出会いと幸福に、溢れた想い。

失う事も知るからこその、祈るような想いに、彼らが共鳴した。

・・・共鳴はする・・・。

するが、とどのつまり、惚気!幸せボケだろ。

こんのバカップルめ!

「お前の事だ。綿密に計画してんだろー。」

一馬が俺の役目とばかりに、揶揄するよう続ける。

「理想は、大学卒業と同時に結婚か?」

図星を刺された春海は、途端に眉間に皺を寄せた。

「いや、昔からプライドの塊みないな奴だからなー。共同経営者になるまでは結婚しないだろ。」

再び、進が後を引き取った。

兵衛が、殊更渋面になった春海の顔を見て笑う。

先程までの空気など微塵も無い。

「ビンゴだな。それじゃ短くとも5年は必要かー?」

とどめとばかりに一馬が顎に指を添え、意地悪く笑いながら言った。

そんな彼らに、

「3年だ!」

春海は憮然としながら、しかし頬を赤らめて叫んだのだった。

~春~



ぼのぼのですね~。
に~んまりします(〃⌒ー⌒〃)ゞ



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~最後の冬~後編

こんばんは~juniです~。

特急で後編アップです。




~最後の冬~後編

いつもの公園と言えば通じる。

そんな関係が心地よい。

いるかは公園の入り口に立ち、春海が来るのを待つ。

彼を探し、自然爪先立ちになりながら、遠くへと視線を向けた。

気持ちが逸る。

こんなに長い期間会わなかったのは、中学以来だ。

・・・でも、時間をかけないようにしなきゃ・・・。

段取りよく、事を進めなくてはいけない。

「早く帰って、勉強しないといけないんだから。」

いるかは小さく呟いた。

本当は、春海の自宅付近で渡したかったのだ。

しかし過保護?な彼は、暗くなってから彼女が一人で出歩くことを、よしとしない。

季節は冬、暗くなるのは早い。

今は自由登校期間で、彼は朝から夕方まで、予備校の2次試験対策か、もしくは図書館に居り詰めている。

帰る時間に合わせ家の近くで渡しても、「暗いから家まで送る。」と必ず言うだろう。

いるかが断っても、絶対に譲らないと分かっている。

・・・私なら平気なのに。春海の頑固者・・・・。

最近、めっきり顔を会わせていない恋人を想ういるかの周りに、一陣の風が舞った。

「うわ、さむっ。」

いるかは左手に荷物を抱え直し、右手で舞い上がる髪を抑える。

片目を薄く閉じ、風下に顔を向け、風が止むのを1人待ちながら・・・。

「春海、早く来ないかな。」

いつも、いつも横にいた彼を、想った。





フウワリとスカートの裾が揺れている。

いるかの周りで遊ぶ風が、彼女の肩下まで伸びた髪を巻き上げた。

一段と綺麗になったように見えるのは・・・俺の気のせいか?

久しぶりに見るいるかの姿に、胸の鼓動が答えを迫る。

近くに居て苦しかった。でも、離れても苦しいだろ?ならばお前は、どちらを選ぶ?

答えは簡単だ。

同じ苦しむのなら、彼女の横を選ぶ。

数分前までは、いるかの事を想いだすのも辛かったのに。

今、迷いは消えた。

「いるか!」

「春海!」

ほぼ同時に、互いの姿に気付いたのだろう。

2人は微笑みあいながら、恋しい名を呼びあった。

春海が駆けよると、いるかも駆け寄ろうと足が動いた。

しかし次の瞬間、ハッとしたように歩を止める。

今から公園に入るのだ。彼に駆け込むのはどうだろう。

・・・会いたがってたのを春海が気付いて、無理するかもしれない・・・。

彼女のぎこちない動きに、春海は先だっての言動を後悔した。

天真爛漫な少女に同居する、繊細な優しすぎる心を思う。

「春海、元気そうだね。」

佇み待ったいるかが、春海を見上げて声をかけた。

今、目の前にいる笑顔の彼は、ほんの数週間前とは別人のようだ。

・・・あれでよかったんだ。

いるかは素直にそう思った。

「ああ、見ての通りだ。勉強の方も一段落ついたよ。もう、大丈夫だ。」

最後にウィンクを添え、春海がいるかに笑顔で答えると、

「そっか、春海が言うなら大丈夫だね」

いるかは、全幅の信頼をのせて春海に言った。

2人はひとしきり微笑みあった後、連れだって公園内へと向かった。

バレンタインデー、去年もこの公園だった。

1年の時と同じベンチで、チョコレートを。

・・・渡した。

・・・受け取った。

そんな音にならない言葉が交わされ、向かわせる。

2人はゆっくりと歩きながら、隙間を埋めるように話した。

「大学の練習には、もう顔を出してるのか?」

「うん、毎日じゃないけどね。男子と一緒にやってるよ。」

「そうか。お前なら当然だな。」

いるかと対等に走れる女子など・・・少なくとも国内には居ない。

「春海はどう?」

「俺か?やるべき事はすべてやった。後は本番を待つばかりだ。」

ニッと笑いながら言う姿、自信に満ちた見慣れた姿。

「そう、準備万端って感じだね。」

春海の笑顔に、彼の越えた山を見て、いるかは安堵する。

今日のこの日、もし春海の様子があの日と一緒なら。

・・・「会えない。」って、言われないだけましだけど・・・いるかは、一抹の不安を覚えていた。

・・・本当によかった。今の春海なら迷惑じゃないよね・・・。

今日は、日本中の少女が色めき、恋心を伝える特別な日である。

人一倍恋に奥手ないるかにとっては、特に・・・。

春海に、なかなか気持ちを伝えられないいるかに、魔法がかかる日・・・中学2年のあの日から。

ゆっくりと歩んでいた2人の目に、園内のベンチが映った。

時々寄り道するこの場所での、定位置でもある。

語りあい、笑いあう為の。

いつもの様にベンチに近づく春海の制服の端を、いるかは軽く掴んだ。

後ろに引かれる力に、春海が振り向く。

「こ、今年はね。チョコだけ・じゃ・・・。」

さながら背水の陣を敷くように言った言葉は、尻つぼみして、風に掻き消えた。

・・・勇気!出てこい!・・・いるかは祈るように自分を応援する。

制服を掴んでいた手を放し、紙袋の中からチョコレートを取り出す。

そして、緋色のリボンの箱を差し出した。

うつむいているせいで、春海からはいるかの表情は見えない。

しかし、髪の隙間から見える真っ赤な耳が、全てを物語っている。

「ありがとう。」

春海は、震えるいるかの手からそっとチョコレートを受け取ると、嬉しさに微笑んだ。

・・・毎年緊張してるよな。可愛すぎる・・・。

そう思い、吹き出しそうになりながら。

・・・抱きしめたい!キスしたい!・・・どうにかなりそうだ・・・。

突如湧き上がる欲情に、体を固くした。

言葉が途切れ、ピンと空気が張りつめる。

彼女の緊張が彼に移ったのか・・・?その逆か?

「はーーー。」

いるかは大きく深呼吸した。

そして、ありったけの勇気を振り絞り、顔を上げた。

「それとねもう一つ・・・。」

意を決して、言葉を紡ぐ。

カサッ!

彼女の手から紙袋が離れ、小さな音をたてた。




・・・こうすればいいから・・・いるかの頭に響く、従妹の言葉。

春海の目に、すべてが、映画のワンシーンの様に映った。

目の前の少女だけが、妙に鮮明で。

・・・一生忘れられないだろう・・・後から思った。

彼女の両手がゆっくりと動き、その白い指が首元に触れた。

ホロリと、音もなく解かれたマフラーの下から現れたのは、彼の手の中の物を飾るそれと・・・等しく見えた。

緋色のリボンが、いるかの白い肌をより際立たせて、誘う様に揺れている。

周囲でずっと遊んでいた風が、少女の緋色のリボンを舞い上げた。

彼女はゆっくりと・・・スローモーションの様に・・・近づいてくる。

春海は、信じられない現象を見るように、いるかを見つめた。

・・・夢じゃないのか?・・・。

ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!

鼓動が耳を埋め尽くす。

春海が小さく震える指で緋色のリボンに触れると、いるかの体も、小さく、震えた。

彼はそっと持ち上げ、緋色のその先に、優しく優しく口づけした。

そして感極まったように、愛しい少女を抱きしめた。

言葉は無い。

そこにあるのは、胸に抱いた感触と少女の熱が教える現実感、喜びと同じ大きさで襲い掛かる失望感だ。

・・・きっといつもの夢だ。現実の訳がない。ああ、このまま目覚めたくない。・・・。

そんな鬩ぎ合う彼の全身全霊を、少女の細い両腕が、強く強く抱きしめた。

いるかの痛いほどの想いが、春海に現実であることを伝えた。

・・・夢じゃないのか・・・。

怒り、恋しさ、優しさ、寂しさ、憎しみ、愛しさ・・・俺が知らなかった、全てを与えてくれた君。

正しすぎて中身のない人形に、熱い血の存在を教えてくれた君。

1人では生きられないと、気づかせてくれた君。

春海に、諸々の感情が湧き上がる。

求めて求めて・・・どうしようもなく求めた存在が、手の中に降りてきた。

「ありがとう。一生、大切にするよ。」

春海は、いるかの耳元に囁くと、唇を彼女の口元に移動させ、深く長いキスをしたのだった。

~スイートバレンタイン~終わり



うわ~(///∇//)
mameさんありがとう。

~最後の冬~中編

こんばんは~juniです~。

~最後の冬~中編をアップします。

どぞ~(^^)




~最後の冬~中編

「お前ら最近会ってないんだってな。」

「・・・・。」

進、なぜお前が知ってると、目を座らせて電話の向こうに無言で返す。

「大川から聞いた。いるかとも話したし。」

何でお前がいるかと喋ってんだ・・・と、心の中で返事が続く。

返事の聞こえない受話器越しの相手に、

「春海お前、これくらいで動揺するなら、電話の1本でも入れて会いに行けよ。」

見透かした一言が、彼の重い口を開かせた。

「出来るものならやってる。」

・・・やっと出た一言がこれか。自分で自分が嫌になるぜ・・・。

春海は、自身の不甲斐無さに溜息を吐いた。

「はぁ、相変わらずいるかが絡むと別人だな。」

「・・・要件はなんだ。受験勉強で、お前も俺も忙しい時期に。」

染まった頬を見られないのが、まだしも幸いだ。

「受験勉強ねぇ。」

・・・こりゃ重症だ・・・。

「徹君が俺に電話して来た。”お兄ちゃんが変なんだ。ボーっとしたりイライラしたり、部屋の中から何かをぶつける音がしたり。”ってな。」

進は、倉鹿での彼を思い出す。

普段冷静沈着なこいつが、驚くほど動揺し感情的になるのは、いつもいるかがらみの時。

「かなり心配してたぞ。」

・・・その上、受験勉強を理由にするなんて、プライドの塊のこいつが・・・。

「倉鹿の俺に、わざわざ電話するくらいだ。」

春海は返す言葉を見つけられない。

彼自身が言い出したことだが、望んでこんな状態になったわけではない。

苦渋の選択なのだ。

「いるかから伝言だ。”14日いつもの公園で6時に待ってる”・・・だそうだ。」

「・・・解った。」

そういえば、もうそんな時期だった。

春海は、一年で一番幸せなはずの日を、初めて暗い気持ちで受け止めたのだった。





「よし!」

いるかは鏡の前で最後のチェックをすると、胸の前で両の拳を握った。

今日は待ちに待ったバレンタインデーだ。

冬の夕方、薄暗い外に目線を移す。

一年で、最も冷え込む2月。

今日も気温は低い。

・・・天気は大丈夫そう。良かった。2次試験前に風邪でも引いたら大変だし・・・。

里見進学が決まっているいるかと違い、春海は、まさに今が正念場だ。

その彼の顔を見ないまま、約3週間が過ぎようとしていた。

1週間前の進からの電話。

「大川から聞いたんだ。大丈夫か?」

遠く離れても優しい2人。

「春海の、受験勉強の邪魔はしたくないから。」

深くは聞かない・・・彼らの温かさに顔がほころぶ。

用事があって春海に電話すると言う進の、

「伝言は無いか?会いたいって言ってたぞ!とでも言うか・・・。」

少々からかい気味のセリフに、首を横に振る。

会いたい。凄く会いたいけど、寂しいけど。

・・・春海の邪魔になりたくない・・・それも本心だ。

でも・・・バレンタインデーだけはと、伝言を頼んだ。

さすがの春海も・・・今回は余裕がないんだな・・・と、いるかは素直に思っていた。

国内最難関の法学部一本という現実と、彼の様子。

周囲から、散々話を聞いた結果もある。

一部の者は、確信犯的に別の意味を込めていたが・・・。

いるかは時計に目をやり、最後に会った時の春海を思い出した。

一次試験が終わった頃までは、いつもの彼だった。

でも、その後くらいから、徐々に違和感を感じていた。

そして・・・やっと絞り出した様な彼の言葉に、有無を言わせない力を感じた。

・・・寂しいけど仕方ないもん。今、あたしに出来ることをしよう・・・。

春海が、少しでも元気になればと、今年もミルクたっぷりの手作りチョコレートを作った。

そして、今日の春海との時間は、いるかにとっても重要な意味を持つ。

・・・あの事は、春海を見てから決めればいい・・・。

鏡の中には、いつもよりオシャレした自分が居た。

久しぶりに会える嬉しさと、自分を勇気づける為の、今日の装い。

かもめと相談しながら買った、ちょっと?短めのスカート、そしてボレロ風のジージャン。

その下には綺麗な色の、優しく体にフィットするセーターを合わせた。

ジージャンの下からは、いるかの細くしなやかな腰のラインが見え、ボレロ下の長めのセーターの裾から、柔らかな生地のスカートがフワリとひろがる。

いるかの、小柄ながらスラリとした、形のいい足がとてもよく映える。

首にはリボン結びのマフラー。

唇には、かもめの「頑張れ!」の言葉と共に貰った、淡いオレンジのリップがのせられている。

「おかしくないよね。」

彼女は呟き、もう一度鏡を覗き込んだ後、小ぶりな紙袋の取っ手を握った。

中身はもちろんチョコレート・・・緋色のリボンで飾られた。

「チョコレートも今までで一番の出来だし・・・よし!行くぞ。」

・・・あたしの言う通りにするんだよ・・・。

いるかは、かもめの言葉を反芻しながら、自室のドアに手をかけたのだった。

~後編へとつづく~


~最後の冬~前篇

おこんばんは~juniです~。

mameさんから待ってた新作来ました。

どぞ~(o ⌒∇⌒)o



!!!ご注意!!!

◆このお話は、当時の日程他決まりなどに関して、ご都合主義で書きすすめております。

上記をご不快に感じる方は、けっして読まないで下さい。

ご了解頂ける方は、どうぞ読み進めて下さいませ。




~最後の冬~

「所詮俺たちは男だ。」

男2人だけの生徒会室で、巧巳がやぶから棒に口を開いた。

春海が、突然なんだ!と視線を送る。

共通一次も終わり、その報告も兼ねた登校日。

周囲の余りの五月蠅さに、2人は生徒会室に避難していた。

すでに役員を引退した彼らだが、後輩たちは「いつでも使って下さい。」の歓迎状態である。

そして、1年2年の現役員は、ただ今授業の真っ最中。

故に、心置きなく、使わせて貰っている訳だ。

「無理しすぎるな、と言ってるんだ。」

・・・見ちゃいられない・・・。

「何の話だ。別に無理なんかして無いさ。」

否定はしてみる。

しかし、ここ里見で、彼に限っては通じない事は分かっていた。

春海のいるかに対する思いを、全身で受け止めた事があるのだから。

「お前さ。いわゆる。”むっつりスケベ”だよな。」

「何だと!」

耳触りとしか言いようのない言葉に、春海はあからさまに不機嫌を表した。

「一見、他人に興味が無いように見えるが、手の中に入れた人間は大事にする。顔には出さないから、判りづらいけどな。」

ゆっくりと語りながら、巧巳はいったん言葉を切り、チロと春海を見る。

「でも、気になる女がいれば、他には目もくれず猪突猛進。・・・恋愛関係になれば、本来、手が早いタイプだろ・・・お前。」

その確定的な言い方に、異論を唱えたいものの、

「・・・・・・・。」

春海は、ぐうの音も出ない。

沈黙は時に雄弁だ。

それを返事と受け、巧巳は言葉を続けた。

「好きな女に触れたいと思うのは、至極当然の事だ。」

彼は話を締めくくると立ち上がり、「じゃ、お先に!」と、生徒会室を後にした。

1人残された春海は、額に手をやり頭を抱える。

実際、今彼は、身動きが取れない状態にある。

普通に触れる事さえ難しい・・限界が、近い。

それでも、いるかの傍に居たいが為に、平静を装っていた・・・。





T大学の受験・・・絶対という保証はないが、落ちるつもりもなく。

・・・いつもの様に臨めばいい・・・。

同じ土俵の中で、何処まで上にいけるかというレベル。

春海に気負いはなく、彼をよく知る周囲は、たいして心配をしていなかった。

いや唯一人・・・。

「春海、大丈夫?あまり無理しないようにね。」

いるかだけは心配そうに、春海の顔を覗き込んだ。

自由登校のある日、彼らは示し合わせて、里見学習院に登校していた。

3学年の廊下で談笑していた折、春海の心此処に在らずな・・・ボーっといるかを見ていた・・・様子から言ったのだが。

彼女は、最近彼が時折見せる挙動不審(笑)を、受験のせいだと思っている。

・・・抱きしめたい・・・。

春海は、所構わずの衝動を抑え込みつつ、苦笑しながら「ああ、大丈夫だ。」と答えた。

いつもの定位置に行こうとする手も、全力を込めて押し留める。

触れたが最後、暴走しかねない自覚がある。

そっと触れるつもりの手に、どうしようもない引力が作用する日々。

一気に沸騰する血液。

思い出すのは、ほぼ全校生徒が見守る中、いるかにキスをしようとしたウェストサイド物語。

・・・あの時の方がまだマシだ・・・。

そんな日々が、どれくらい続いていただろう。

限界を感じた。

だから・・・。

「本番も近いし、受験勉強に集中したいんだ。少し会うのをよそう。」

2次試験も間近・・・春海はいるかにそう告げた。

何も言わず避けて、彼女を傷つける事はしたくない。

倉鹿の二の舞を踏みたくはない。

今の春海には、その選択肢しか浮かばなかった。

~中編へとつづく~



♪((O(〃⌒∇⌒〃)O))♪ドキドキ
続きが楽しみ~
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