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~2人は鹿鳴会会長~ 後編

いるかちゃんヨロシク二次小説ファンサイト いるかちゃんヨロシク画像イラスト 如月いるか 山本春海
こんばんは、超ドジなjuniです。

ブログ復活への道は遠いと感じている毎日です。



~2人は鹿鳴会会長~ 後編

何とか終わりそうな書類を前に、彼女は最後の一言を叫んだ。

「ケチ、ドケチ、スカタン、ハゲ、豚足、さかさ男、デバラのデベソーーーー。」

はぁっはぁっはぁっ・・・息を切らせながらの大声だ。

ガ・・・チャ・・・・

「だ・れ・が、ハゲだってぇ。」

ゆっくりドアを開けながら、額に青筋を浮かべつつ、春海はいるかの背中に話しかけた。

しかし、それくらいで負ける彼女ではない。

「は~る~う~み~!」

様々な感情を織り交ぜて、振り返りつつ彼の名を呼び

「はい、終わったよ。これでいいんでしょ。」

えいっとばかりに、書類を差し出した。

彼は突き出されたそれを受取ると、さっと彼女に背を向け、椅子に座り目を通しはじめる。

その様子にむっとなりながらも、彼の返事を待つ。

日も傾き、部活動の音も聞こえない静かな学校。

しばらくして、背を向けたまま。

「ああ、コレでいいよ。」

何ともそっけない返事に、更に逆撫でされる。

「それじゃ、私帰るね。もう、練習も終わっただろうし。」

そそくさと去ろうとする彼女。いつものセリフは無く目は伏せたままだ。

彼は背を向けた姿勢はそのままに、

「ちょっと待て、いるか。」と声をかけた。

その冷めた声色ににむっとしながら、顔を上げ「なんだよう!まだ何かあるの!?」

けんか腰の返事をして、春海の方を見る。

しかし、声をかけた本人はやはり背を向けたままで、彼女は自然とまた目を伏せた。

・・・・。

2人の間に流れる気まずい空気、沈黙を破ったのは春海だった。

「お疲れ様。頑張ったな、ほら。」そう言いながら左手を高く上げた。

いるかちゃんヨロシク画像イラスト 如月いるか 山本春海 肉まん


いるかが目を上げると、その手には見慣れた白い紙袋が握られている。

微かに色づいた頬は、彼女には見えない。

「・・・松前堂の肉まんだぁ。」

中身に気づいた彼女は、声のトーンを上げた。

その声から笑顔をさっした彼は、安堵の息を吐きながら振り向き、紙袋を手渡した。

「冷めないうちに食べろよ。」

「ありがとう。」

彼女は素直に受取り、早速肉まんを取り出しほうばった。

「へへっすごく美味しい~。」

(喜色満面とはこの事だな。)春海はそんな事を考えつつ、再び口を開く。

「お腹空いただろ。普段使わない頭を使っ。」

ゴス!

瞬殺。鈍い音が鹿鳴会室に響く。

打てば響く彼女のことだ。こうなることは目に見えているし、それが分からぬ彼ではない。

しかし、あえて口にするあたり、それなりの理由があるのであろう。

(楽しんでいるようであり、戒めているようでもあり・・・)

「何だってぇ~~。」

余計な一言と春海を睨みつつ、彼女はもう二つ目をほうばり始めている。

「いってぇ~なぁ。本当に手が早いな・・・。」

彼はたんこぶを摩りながら、その言葉とは裏腹に、彼女の行動にはさして気にも留めていないようだ。

ニコニコ肉まんを食べる姿に、微笑を向けながら次の言葉を続けた。

「いるか、よく、頑張ったな。」

「えっ???」目を見開き、

「うん。」

コクンと頷く。

「それと、今回はやり過ぎた。」

「何を?」

二つ目を食べ終え、キョトンと見上げたいるかから視線をはずし、更に言葉を続けた。

「この、書類の事とか、いろいろだよ。」

彼女は首を傾げながら、彼の言わんとするところを考えてみるが、

「ん~~~。そりゃ、めんどかったし、時間掛かったし、イヤだったけどさ。春海はいつもやってる事でしょ。」

「まぁな。」

「いつも、私が甘えてるだけだからさ。私のほうこそごめんね。」

許せる彼女。許せない自分。彼女には敵わないと思う嬉しい瞬間。

振り回され、振り回す自分。気づかぬ彼女。特別である事に気づいて欲しいのか、そうでないのか。

「今度からは、私も頑張るよ。会議中も、居眠りしないようにさ。」

これはどうだろう・・・苦笑い。

「あ~~~、なに~その顔。」

「わかった。わかった。期待するよ。」(あてにしないけどね。)

「あーいや、うん。やっぱり、あんまり期待しない・・で・・ね。」

「何だよそれ。」

・・・・・。

再びの沈黙。

ぷっっ!あっはっはっは。

きゃーっははははは。

こらえきれない衝動が、空気を裂く。同時に、修学院に二人の笑い声が長く響き渡った。

どれ位たったろうか。

はぁ、はぁ、はぁ。

息を切らしながら、目の端に涙(笑いすぎ)を溜めた少女と、お腹を押さえた少年は目を合わせ、

どちらともなく声をかけた。

「帰ろうか。」

「帰るか。」

二人は連れ立って、いつものように鹿鳴室を出る。

そしていつものように、二人並んで家路についたのだった。

~終わり~いるかちゃんヨロシク二次小説 いるかちゃんヨロシクファンサイト 如月いるか 山本春海 いるヨロ いるかちゃんヨロシクイラスト いるかちゃんヨロシク画像 いるかちゃんヨロシク漫画
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~2人は鹿鳴会会長~ 中編

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~2人は鹿鳴会会長~ 中編

「春海のいじわる~。カチカチ頭、バカー。おうぼう!」

校内に響く声に、肩を震わせる彼。

「何が横暴だ。時には俺の身にもなってみろ。」

教室で独り言を呟きつつ、席を立つ。

(だいたい、お前のせいで俺の仕事がどれだけ増えていると思っているんだ。)

「河童あたま、冷血漢、クソまじめー。」

又、響いてくる声にカーッと頭に血が上り、鹿鳴会室へと足が向く。

「あいつ、一言いわないと気がすまない。」

あまりの険しい表情に、一般生徒が道をあけるのにも気づかずに歩を進めた。

カッカッカッカッ

しかし、靴音を響かせ歩く彼の元に、予想に反しているかの声が響いてこない・・・・。

自然と足は止まり、彼は廊下に背をもたせ掛けながら、聞こえてくるであろう声に耳を澄ましてみた。

間をおいて・・・。

「薄情者~~~~。みんなのばか~~~。」

何とも言えない響の、彼女の声が届いた。

鹿鳴会室の方向に目をやれば、程なく見慣れた仲間が連れ立って歩いてくるのが見える。

バツの悪そうな3人が、すれ違いざまに一言。

「やり過ぎだと思うぞ。」一馬。

「あんまりカッカするな。」兵衛。

「そんな顔をするくらいなら、はじめから止めとけよ。」進。

(・・・どんな顔をしてるって言うんだ。)と思いつつ、窓に映る自分を見て山本春海は納得した。

後悔が前面に浮き出た顔の男が、窓辺に佇んでいた。

(どうしているかが相手だと、むき出しの自分が出てくるんだ。)

彼女に振り回されているようで、吐露する感情で振り回しているのも確かだ。

後味が悪い。でも、後には引けない。

彼は鹿鳴会室に向けていた足を翻し、その場を去った。

~後編へつづく~いるかちゃんヨロシク二次小説 いるかちゃんヨロシクファンサイト 如月いるか 山本春海 いるヨロ いるかちゃんヨロシクイラスト いるかちゃんヨロシク画像 いるかちゃんヨロシク漫画

~2人は鹿鳴会会長~ 前編

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juniが描いたイラスト、制服が倉鹿時代の物・・・。

私(mame)的には、最初の頃の春海は「素直じゃない」印象が強いです。

(倉鹿編最終話や、男の子としての行動?は別として。)

中2終わり頃から、思いのまま突っ走り、幼馴染三人から突っ込みを受ける。

その関係が何とも良かったですね。

juniは極度の春海ラブ、私mameはいるかちゃんが大好き。

つまるところ、いくら二人が喧嘩しても・・・

いるかちゃん・春海ラブ街道まっしぐらとなります。

それ以外をご希望の方、本当にごめんなさい。

このサイトでは、ありえないと思います。

ではでは、本編へ。



=== 2人は鹿鳴会会長 前編 ===


「春海のいじわる~。カチカチ頭、バカー。」

鹿鳴会室から響く声。

かの山本春海に対して、ココまでの罵詈雑言が言えるのは、学校中(世界中?)で、ただ1人しかいないであろう。

「おうぼう、河童あたま、冷血漢、クソまじめー。」

大声が学校中に響く中、"ガチャ"、鹿鳴会室のドアが開いた。

「いるか、何叫んでるんだ。」

「あっっ進ー。」

手に持った紙とペンをそのままに、半泣きで彼女は振り返った。

「春海が絶対にコレだけはやれって。やらなきゃ、試験のヤマ教えないって。進、助けて~。」

うっすら目に涙を溜め、上目遣いに訴える。

顔には出さないが、動揺する自分に戸惑う彼。

そして、(いるかに他意はない。いるかの背丈ではどうしたってそうなる。)と自分自身に言い聞かせた。

彼女の涙目が、なおも彼を見上げる。根負けした進は、

「しょうがないなぁ。見せてみろよ。」

息を吐きながらいるかの隣に座り、書類をよこせとばかりに手を差し出した。

「ありがとう。やっぱり進は優しいよね。いじわる春海とは大違い。ぜんぜん進まない。」

本人不在の為か、言いたい放題である。いや、彼女なら本人を前にしても・・・。

「あのな、春海だっていじわるしてるわけじゃないと・・・つうかコレ、昨日打ち合わせした内容だし・・・はぁ、寝てたもんなお前。」

ため息を一つ。

「でもさ、そんなに難しい内容じゃないだろ・・・量は別としても。」

彼女は否定はしない。

「全然終わんないよ。まだまだ時間掛かるもん。そしたら、サッカーの練習できな・・く・・な・るし。」

進は、今度は深くため息をつき

「お前なぁ。」と答える。

それに対して、「へへへへ。」彼女はバツが悪そうに照れ笑いしながら、両手を合わせ言った。

「進、お願い。手伝って。」

そんなしぐささえ可愛く、否とは言えない。(あ~、春海のイライラする姿が目に浮かぶ。見つからない様にしないと・・・)

「春海には内緒だぞ。」

「うん。」

一点の曇りも無い、満面の笑顔。

「進、ありが・・・」

"ガチャ"

いるかがしゃべり終わる前に、再び鹿鳴会室のドアが開いた。

一馬と兵衛である。

「いるか、でかい声だな。学校中に響いてたぞ。」

「よう進、探してたんだ。って、何してんだ。」

「ああ、ちょっとな。」

「進がね・・・」

進の手に見える書類と、いるかを見た一馬と兵衛は、あいたたっとばかりに頭に手をやった。

「いるかの手伝いをちょっとさ。この事は春海には内緒・・・どうしたんだ二人とも。」

二人の様子に進は気づく。いるかだけがキョトンと三人を見た。

手招きする2人、近づく一人。幼馴染三人でのひそひそ話。

「春海から俺らに・・・絶対にいるかを手伝うな!だとさ。」

「手伝うなってそんな勝手な。」

少々憤慨気味な進。困惑顔の一馬と兵衛。

「春海いわく、鹿鳴会会長としての責任だと。」一馬。

「でもそれだけじゃないと思うぞ。一応全校生徒の代表だろ。」兵衛。

「確かにいつもいつも食べて寝てばかりじゃな。鹿鳴会は皆の目標だし。」進。

理屈では十分に納得しても、感情は別である。

「俺は手伝うよ。サッカーの練習に出れないって聞いちゃさ。それにあの量だぞ。」

いるかに涙目で訴えられた進が言った。

「まあなぁ。気持ちは分かるけどさ。さっきのつづきな。」

一馬が進をなだめつつ、言葉を続ける。

「続きって?」

「伝言だよ。春海のさ。よく聞けよ。」

「何だよ。手伝う手伝わないは俺の自由だろ。」

「いいかよく聞けよ・・・手伝うのは自由だと。ただし手伝うなら、同じ会長の俺からの報復を覚悟しろ!だと。」

会長が2人になり仕事が減るかと思いきや、実際には正義を貫く(私情を頑としてまじえる)彼女と、公私混同しない彼。

1人でも反対がいれば決められない。それが鹿鳴会の決まり。仕事は増えるばかりだ。

もう1人の会長により増えた仕事をするのは、当然のように彼。(彼の責任感ゆえか。いるかのサボリゆえか。)

(ひぇぇぇぇぇっぇぇぇぇ~~~~~。)背筋に冷たい汗が流れる。あの春海の報復・・・想像したくない。

進は振り向きざま、いるかに言った。

「ごめん、忘れてた。今朝母親から、大事な用事があるから、学校終わったらすぐ帰れって言われてたんだ。なんだろなぁ、大事な用事。」

進の一言にいるかは一馬と兵衛を見た。

(ひぃぇぇぇぇぇぇ~~)ミンクになった一馬が言う。

「おおおおっおれ、きょう剣道部の稽古を、春海と湊から言われてたんだ。おお恐。」

「えーーー。柔道部に早く行かないとな。最近行ってなかったから、部員から呼び出し受けてるし。」兵衛。

かくして、三人はそそくさと鹿鳴会室をさった。

直後、「薄情者~~~~。みんなのばか~~~。」悲壮ないるかの声が校内に響き渡った。

~中編へつづく~いるかちゃんヨロシク二次小説 ファンサイト 如月いるか 山本春海 いるヨロ いるかちゃんヨロシクイラスト いるかちゃんヨロシク画像 いるかちゃんヨロシク漫画
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