こんばん~juniです。
mameさんから新作が来ました~。
仕事再開したから無理は禁物と言ったばかりなんだけど~Σ(|||▽||| )
(読めるのは嬉しいす~あまり無理せんで下さい。)
ではどぞ~
~近づく距離~「かもめ、明日会えないかな。」
土曜の夕刻、いとこへ電話したいるかは、早速と用件を切り出した。
自分の力では抜け出せそうに無い袋小路、頭に浮かんだのは「博美・湊・玉子」、そして、いとこのかもめ。
出来れば、顔を突き合わせて話をしたい・・・。
しかし、その内容から、今後学内で顔を合わせて、普段通りに出来る自信も無い。
・・・となると、当然のことながら彼女となった。
「え?どうしたの。何かあったの?」
突然の電話と、ちょっと気になる声色に、かもめが反応した。
「別に何かあった訳じゃないんだけど。ちょっと相談したくてさ。」
歯切れの悪い物言いに、気になりながらも、
「うーん。先約があるんだよね。」
そう、かもめは答えた。
明日は、琢磨と一緒に過ごす約束をしている。
受験勉強の合間の、大切な大切な2人の時間だが、もちろんいるかも大切。
比べることも、どちらか1人を選べるはずもない。
ライバルで親友、姉妹同然に育った双子のようないとこと、幼馴染で親友で恋人、そして最近、ひっそりと将来を誓い合った琢磨。
わずかな間が、かもめの悩みをいるかに伝える。
・・・琢磨とかな。なかなか時間取れないって言ってたし・・・。
「あ、やっぱいいよ。そんな大したことじゃないしね。それじゃ」
いるかは平静を装うが、かもめに通じるとは思っていない。
それでもそうするのは、いるかにとっても彼女は特別だから。
「ちょっと待って。ねぇいるか!今日、泊まりに来ない?」
電話を切ろうとするいるかを遮るように、かもめは叫んだ。
以前はしょっちゅう泊まりに?、頻繁に一緒に住んでいた彼女達。
父親の仕事の中心が日本国内になってからは、格段に減ったが。
高校生活も終わりに近い今、そんな時間があってもよいだろう。
両親にとっては、もう一人の娘の感覚のいるかだ。否応もないだろう。
いや、いるかが久しぶりに帰って来るのだ。きっと母は、喜び勇んで腕を振るう。
今までも、いるかがかもめの家に泊まる事に関しては、両家の親から反対されたことは一度も無い。
報告さえすればよい。
今この時、いるかが承知さえすれば、簡単に決まること。
今更、遠慮する間柄でも無し・・・。
「今からでも来たら。晩御飯はうちで食べればいいじゃない。」
いるかの多忙さを知っていた為、お泊りは無理だろうと誘うことはなかった。
やっと卒業後の進路も決まり、最近は落ち着きを取り戻したようだから、「泊まりに来ない?」と言おうと思っていた・・・その矢先のこと。
「無理してない?」
「そんな事ある訳無い。嬉しいよ。最近、いるかが帰ってこないって、母さんが寂しがってたし。」
双子のような2人、嘘を言ってないことが伝わる。
「それじゃ、久しぶりに泊まりに行こうかなぁ。」
「そうしなよ。それじゃ、母さんに伝えてくるね。」
かもめのウキウキ感が、電話の向こうからいるかに伝染する。
トタタタタッと響く足音と、次いで賑わう向こう側。
「是非ともおいで!だってさ。」
かもめは、ほらね!と言わんばかりにいるかに報告する。
「あたしも母ちゃんに言って、すぐに家を出るよ。」
いるかは元気よく、かもめに答えた。
それが、いつ芽吹いたかは分からない・・・この恋が、どの時点で始まったのかさえ分からないのに・・・。
少なくとも、去年の春には芽吹いていたように思う。
そして又、変わってきている・・・育ってきている?
あたしの内から・・・。
隣にずっと居ることを意識し始めて、幼い自分を認識して。
でも、それともまた違う・・・。
気づいたきっかけは、去年倉鹿での夏祭りの時、春海とのいつもの距離に、寂しさを覚える自分に驚いた。
それまで、その距離は居心地のいい、安心する距離だったはずだ。
ゆっくりと近くなる時でも、緊張と恥ずかしさと温かさと、いろんなモノがせめぎ合うばかりで。
だからと言って・・・春海とのキスは、その・・・嫌じゃない・・・えと、う、嬉しい。
ただし、急にその距離を破られる時は、彼を傷だらけにしていた
・・・だって、びっくりするんだもん。恥ずかしいんだもん。緊張して、気づいたら春海が大変なことになってんだもん。
そう、隣に居られれば、満足していた気持に、何かが加わっている。
たぶんそれは、春海がずっと待っていた変化・・・。
自分の中のそれに、戸惑いを覚えた。
処理し切れないことや、伝える術を知らないことにも・・・同時に気づいた。
ただただ恥ずかしい。
結局、プロポーズまでしておきながら、未だに平静で、「好き」と言ったことさえない自分。
この気持ちを、自分自身でさえよく解らない・・・処理できないのに、どう伝えるのかなんて分かるわけがない。
でも、伝えたい・・・。
来年の春・・・。
春海は自分の夢のために、学習院を飛び出すことを決めている。
いるかは、学習院の大学に進学することが決まっていた。
つまり、道は、分かれる。
でも、不安なのではない。
純粋に、寂しい。
~近づく距離~つづく
イラストですが当分無理だと思います。
諸事情でまったく手が動きません。
ごめんなさい<(_ _)>juni
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