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~夏の終わり~① 再アップ

こんばんは~juniです。

以前のブログに載せていたものを再アップします。


~夏の終わり①~

「2人で行ってこいよ。」柔らかな色合いの髪をした幼馴染が言う。

黒髪の彼は答える。

「遠慮なんかいらないぞ。東京ではいつも一緒にいるし、お前らとは帰ってきた時にしか会えないんだから。」

そういいつつも・・・2人で夏祭りに行った記憶が無いな、と思う。

あのキスから考えれば、いるかとはもう3年目に突入するのに。

「でも、本当は、2人で行きたいだろ。」茶化すような言葉と笑顔、春海の肩に腕をのせながら、もう一人の幼馴染が言った。

畳み掛ける彼らに、ちょっと下を向き歯噛みする。

「おい、あんまりからかうなよ。春海も、俺らには遠慮するなよ。」

諭すような言葉と柔らかな笑顔。

大柄な体格とは裏腹に、繊細で優しい彼は、思い人との関係を良い形で進めている。

進・一馬・兵衛。

そうだ、この三人に限っては遠慮はいらない。

フッと肩の力が抜けた。

「サンキュー、倉鹿祭り、2人で行ってくるよ。」

浮き立つ気持ちを顔に出すまいとする自分と、含みのある笑顔で自分を見透かす幼馴染らの関係には、距離も時間も関係ない。

三人のニヤニヤ笑いに見送られ、いるかの待つ院長宅に、春海は向かった。




いるかと共に、倉鹿に着いたのは昨日の夜。

久しぶりに帰ってきた故郷では、昔馴染みの夏祭りが明日あるという。

夜店に花火、下駄と風鈴の音がよみがえる。

去年はイロイロあって帰れなかった。今年は間に合うかも・・・と、ほんの少しの期待はしていた。

結局、彼女とは行かずじまいの祭り。

夏の夜の記憶の中に、彼女がいないのがほんの少し寂しかった。

(そういえば小学生の頃、夏祭りを本当に楽しみにしていたな。休みの終わりも感じてたっけ。)

8月31日の武士道水練大会と、その前の倉鹿夏祭り。倉鹿の夏の二大行事。

つらつらと思い描いていると、いつのまにか如月院長の自宅の門前に立っていた。

入りなれた玄関にお邪魔する。

「こんばんは。」

「はーい。よく来たねぇ。」彼女の叔母の声がし、浴衣姿で玄関に現れた。

「お世話になります。」

帰郷先は誰もいない実家、故に食事などは如月宅でお世話になる予定となっている。

「堅苦しい挨拶はおよしよ。もう身内同然なんだから。ちょっと上がってお行き。見せたい物もあるしね。」

もともと気さくな女性で、その上、可愛い姪っ子の婚約者ともなれば、もう甥も同然という訳だ。

「はい。ありがとうございます。」

いるかと同じモノを感じる彼女を、好ましく思えない訳もなく。言われるまま中に導かれる。

彼が居間に入ると、すぐに声がかかった。

「おお、春海か。いるかのばか者は、まだ準備中なのでな。すまんが少し待ってもらえるか?。」

「こんばんは院長先生。はい、待たせて頂きます。」

相変わらず元気な如月院長が、ヒゲに手をやりつつ(言葉とは裏腹の至極ご機嫌顔で)出迎えた。

手中の珠とも言える可愛い孫娘の婚約者は、過去最強の自分の教え子。

こうなる事は万に一つも無かろうと思いつつも、最高の相手として出会わせたのは自分で。

事実は小説より奇なり。瓢箪から駒。嬉しい誤算。

「葵、アレの用意は間に合ったのかのう。」

もう、孫同然の彼の事も、可愛くて仕方が無い。なお一層顔を緩ませて娘に問う。

「ああ、出来てるよ。春海君あちらにいいかい?」

「はい・・・?」

何だろうなと思いつつ、彼らが自分を悪く扱うことは無い。素直に後に従う。

隣の、控えの部屋の襖が開けられる。十畳はあろうか。それでもこの屋敷においては狭いほうの部屋。

電灯を点けた真下に、何かがあった。その何かを叔母は持ち上げ言った。

「今日は夏祭りに行くんだろ。これを着て行ってはどうだろうね。」

手の中には、紺の地の浴衣と男帯。

「これは・・・。」

「父さんがね。春海君の浴衣をどうしてもってさ。春海君のことが、可愛くて仕方が無いようだよ。」

ふふふっと笑いながら、彼女は浴衣を広げた。

彼の為にあつらえられたのだろう。真新しく、糊付けのされている。

「ピッタリだねぇ。」肩にあわせながら、葵は言った。

彼は何とも嬉しく、でもどうしようかと思案していると、彼女が言葉を続けた。

「祖父さん孝行だと思って着ておくれよ。本当喜ぶからさ。」

可愛い孫娘の婚約者に着せる浴衣を、それはそれは楽しげに選んだ父が思い出される。

(兄さんは殆ど帰ってこないし、連絡も無いしねぇ。)

それまで、あまり倉鹿に寄りつかなかった孫娘が、頻繁に帰郷するようになった。

孫娘はもちろん、目に入れても痛くない。

婚約者も、とにもかくにも可愛いのが見て取れる。

逆に春海は、祖父母の愛情というものに恵まれた経験が殆ど無く、今の状況は実際こそばゆい。

しかし、気にかけてくれる気持ちは純粋に嬉しい。その上、これを着ることで未来の祖父が喜ぶのなら・・・。

「ありがたく着させて頂きます。」

彼は軽く頭を下げそう言った。

「ああ、そうかい。こちらこそありがとうね。それで、着付けはわかるかい?」

「帯以外は大体わかります。帯締めをお願いできますか?」

武道の経験のある彼だ。羽織ることはできる。しかし浴衣の帯は、自分で結んだことがなかった。

「ああ、もちろん。帯を締めるときは呼んでおくれ。それじゃ、私は隣にもどるから。」

そういい残して、葵は部屋を出て行き、彼は一人静かに着替えはじめた。

~夏の終わり~ ②につづく

今年の夏風邪はしつこいです。
皆様気をつけましょう。


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