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~夏の終わり~③

こんばんは~juniです。

私が復調してくるとパソコンが不調になる。
昔からです。謎です。

とうとう買い換えることになりました。
嬉しいんだか悲しいんだか複雑です。



~夏の終わり~③

コロン、コロン、夜道に響く下駄の音。

街頭に近づくたび浮き上がる、細く白い首とうなじ。

浴衣を着る前にシャワーでも浴びたのだろうか。石鹸とシャンプーが香る。

それが彼女らしくて、気づかれない様にほんの少し近づく。

(暗くて良かった。)

縮めたい距離と相反し、上気する頬と表情は見えぬよう。

「ねぇ、みんなと何処で待ち合わせなの?」

「え!」

ちょっと驚いた風の春海に、逆にいるかが驚く。

別に頭を覗かれた訳でも無いのに、なぜかバツが悪い。

「あ・ああ、みんな用事があるってさ。誘ったんだけどね。」

2人で行って来いと言われた事は伏せておこう。どんな言葉が返ってきても複雑だ。

(いるかの事だ。みんなと行きたかったって言いそうだもんな。)

「そっかぁ。突然帰ってきたもんね。みんな忙しいよね。」

「そうだな。でも、明日はみんな集まるってさ。」

「うん。えへへ、楽しみ~。」

満面の笑みで見上げられ、瞬間愛しさがこみ上げる。春海は、いるかの頭をポンポンとなでた。

一瞬照らされた光で、湛えられた笑みが見えた。その笑みと、彼の手の心地よさに頬が上気する。

言葉が無くなり、また、下駄の音だけが響く。

(へへ、こういうのって良いなぁ。)

(こんな風に、ゆっくりいるかと過ごすのも、久しぶりだな。)

何となく顔を見合わせ微笑みあい、なおゆっくりと歩を進める。

東京では何かと忙しく、こんな時間はなかなか取れない。

その中にあって、一緒に行動することを努力する2人?いや、おもに1人である。

あんな手痛い数々はもう十分だ!と、彼は常々思っていて、努力を怠ることは無い。

そんな久しく、優しい時間を2人が共有していると、いつの間にか鹿々川に近づいたらしい。

人々のざわめきが、川音と共に流れてきた。

鹿々川の川原には、倉鹿夏祭りの会場が設えられ、賑やかな装いを見せている。

今日ばかりは、いるかと兵衛が整えたグランドにも出店が並んでいた。

土手の上からは、色とりどりの光が川面を照らすのが見える。

「うわぁ、綺麗だね。」

「ああ。そうだな。」

この光景を綺麗だと思ったのは、今は亡き母との夏祭り以来だ。

そういえば・・・倉鹿夏祭りに来たのは、母が亡くなって以来ではないか?

そんな事にふと気づく。でも、彼女がそばにいれば、寂しい思い出ではなく、優しい思い出として甦るのが嬉しい。

土手を下る階段で、いるかに手を差し伸べる。

何故かよくコケル、運動神経抜群の婚約者殿は、素直に手を取った。

普段、手を繋いで歩く事が殆ど無いからか、彼女は少々気恥ずかしいらしい。

手を繋いだ分縮んだ2人の距離は、彼を喜ばせた。

「結構、盛大なんだね。」

川原に並ぶ出店を見て、いるかのテンションが急上昇した。

「焼きそばに、たこ焼き、お好み焼き。わぁ、パイナップル、綿菓子もあるよ。」

もうこうなると、春海は苦笑しながら、着いて行くしかない。

「春海、何食べる?いろいろあって迷うね。」

「ああ、お前は何が良いんだ?」

人差し指を顎に当て、真剣に悩む姿は、可愛く少々幼く、高二には見えない。

そして、いつもの事だが集める視線にも気づない。

もともと、彼女のファンが多い倉鹿。今は、サッカーや駅伝での規格外の活躍で、全国的にも有名になった。

だが、一番の原因は、最近、いるかが綺麗になってきたこと。

彼の欲目だけでないのは、格段に増えた視線が物語る。

そして、今後も増えるであろうそれが疎ましい。

そんな嫉妬心は、いるかには知られたく無いな。いるかにだけは・・・。

周知の事実のそれを、彼女だけが気付かない。ある意味すごいと思う。

当の本人はと言うと、夜店を見渡しては、あっちがいいかなぁ、こっちかなぁ~と、真剣に考えている。

春海は、何とも自分の悩みがバカらしくなり、笑いが込み上げてきた。

「春海、なぁに笑ってんの?何にするか決めた?」

彼の視線には気付いたらしい。

ぱっと振り返ったいるかは、笑った彼の顔を見て、頬を膨らませた。

それが又、可愛くて可笑しくて嬉しくて。

「はは、ごめんごめん。楽しそうだなと思ってさ。おれは焼きソバにするかな。」

「焼きソバか。いいね。聞いたら食べたくなってきた。」

「・・・他にも食べるんだろ。」

「もちろん。たこ焼きと、お好み焼きはずせないし。綿菓子にクレープでしょ。」

いつもの事ながらよく食う。この体の何処に入るのだろう。

「おまえは、ほんと楽しそうだなぁ。食い物があれば。・・・祭りより、出店の食い物が主役のタイ、」

ボク!

「いて~、おまえなぁ。そんな格好して殴るかぁ。」

「春海が余計な事言うからでしょ。こんなにイロイロあるし・・・すごく、すっごく楽しみにしてたんだから。」

真剣に言い返す。

どれだけ自分が、今日の日を楽しみにしていたか。

そう、さっき手を繋いだ時だって、どんなにドキドキしていたか、春海は気付きもしない。

最近、気になる恋人同士の姿。

手を繋いで歩く姿を見た時、少し羨ましくなった。

春海と手を繋いだら、どんな感じがするのかなって

・・・思い出しただけで赤面する。

どう言えば伝わるのだろう。いま、春海と2人でいるのがどれだけ嬉しいか。

いるかは、黙って春海を見上げた。

やば、怒らせたかな・・・彼は少し慌て、最も効果的な方法でお詫びを入れた。

「はいはい、すみません。お詫びにお好きな物をおごりましょ。」

(ラッキー!)

「やったぁ。」

全身で喜ぶ。もう、先程の事は頭に無い。

「何が良いんだ。買って来るよ。」微笑んで言う。

いるかが楽しければそれでいい。

その時、彼女の一番そばに居れれば、自分は幸せなのだから。

(・・・そういえば。)

「いるか、この後は花火もあるから。」

「花火も!へぇ、楽しみだね。」

「まぁ、隅田川のに比べたら規模は小さいけどな。」

「きっと今までで一番だよ。だってさ、春海と一緒だよ。」

いるかは笑いながら、春海を見上げてそう言った。

(うっ!)

心臓を射抜かれる瞬間とは、こういう事を言うんだろう。時々、彼女はひどく俺を驚かせる。

(他の奴にはやってくれるな・・・って言ってもなぁ。無意識だから無理だろうな。)

誰よりも大胆で、誰よりも恥かしがり屋。

真直ぐで、それまでの時間など関係なく、誰の心にも入り込む。

相思相愛なのに、前途多難な恋?愛?

つい腕を組み、考えてしまう。

「どうしたの???あたし、綿菓子がいいな。それとね~。」

「まぁ、まずは綿菓子だな。」

「うん!それと焼きそば!」

はいはい・・・彼はちょっと肩をすぼめ、彼女と共に人ごみの中に歩き出した。

~夏の終わり~④最終話へつづく


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