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~最初の夏~②

こんばんは~juniです。

前後編と思っていたら続きがぁ~~~mameさんごめんm(_ _;)m
全部で4回です。
今度は間違いありません。




~最初の夏~

思った通り、今までに無く苦しい戦いになった。

相手校のピッチャー達は、素晴らしい玉を投げる。

やっと里見の選手の目も慣れ、さあ反撃と意気込めば、継投で投手が入れ替わる。

そんな中、相変わらず春海と巧巳は敬遠されていた。

これまでの試合を、しっかりと分析されている。

たった1点で決まる!そう思わせる試合であった。

そんな中、全力で投げ続ける春海に、いるかは必死でエールを送った。

小柄な彼女が、大校旗を大きく振る。

頑強な男さえ、困難な行為だ。

「里見ーーーー!ファイト!」

誰よりも大きな声で、マウンドの春海に力を!

彼女には判るから。

・・・いつもの春海の球じゃない・・・。

グランドでは、巧巳と、キャッチャーの玉置が同じことを感じていた。

大きな球威の低下は無い。

しかし、今日の春海の球ならば、いつかはつかまる・・・。

1つのエラーも許されない試合展開に、肉体的にも精神的にも、里見の選手の疲労は溜まっていくばかりだ。

それでも何とか凌ぎ続けた8回裏、ワンアウトを取った次の打者は、巧巳と記録を争う、今大会屈指のスラッガーである。

今日三度目の好カードに、アナウンサーが興奮気味にナレーションをつけた。

「山本投手、ゆっくりと振りかぶります。投げたー。」

カーン!

金属バットの音が球場に響いた。

一塁手の頭を越えボールは飛んでいく。

「見事な初球打ち!不知火学園、初ヒット!ランナーは二塁へ。セーフ!」

アナウンサーの声に答えるように、バックボードにヒットの文字が浮かんだ。

マウンドに立つ春海は、帽子のツバに手をやり視線を落とす。

ゆっくりとプレートの土を払い・・・落ち着け・・・と言い聞かせる耳に、

「フレー!フレー!さ・と・み!」

いるかの声が、心が届いた。

春海!頑張れ!

「ふぅ・・・。」

春海はマウンド上で深呼吸をすると、チラッといるかを仰ぎ見た。

・・・大丈夫だ。まだいける。全力を尽くすまでだ。

次の選手はすでにバッターボックスに立ち、彼の球を待ち構えている。

春海は、玉置のサインを確認しゆっくりと頷くと、振りかぶって投げた。

「ストライーク!」

速球が見事にキャッチャーのミットに納まる。

絶好調とは確かに言えないが、マウンド上の彼に動揺は無かった。

次の球。

カーン、再び響く金属音。

凡打!ゲッツーか?

「あー!里見エラー!球を後ろにそらした。その間に走者走る。あーっと、焦ったのでしょうか。送球が大きくそれました。ホームに間に合いません。」

均衡を破る一発が、野手の集中の糸を切ったのだろうか。

守備の堅さに定評の在る、里見学習院らしからぬプレーの連続で、

「不知火高校1点!貴重な。大変貴重な1点です。」

スコアボードには、白く1の数字が描かれたのである。

・・・まずいな・・・。

巧巳の頭によぎる一言。

そんな時、キャッチャー玉置が集合をかけた。

マウンドに、里見の選手たちが集ると同時に、

「みんな落ち着け。浮き足立つな。ここを守って、次の回に点を取れば良いだけだ。」

巧巳が、各々の顔を見ながら言う中で、玉置は、春海に声をかける。

「山本、大丈夫か?」

抑えたはずの場面での失点。

堪らない程のダメージを受けるのは、もちろんピッチャーである。

「はい。」

春海は、静かに、返事をする。

たった一発の安打とはいえ、それが無ければこの失点は無かったはず。

・・・必ず抑える。

その決意のまま、彼はその後の不知火学園の攻撃を、完璧に抑えたのだった。

そして9回表・・・。

スタンドからは必死の応援が送られていた。

涙目の生徒達の中心で、いるかは一層大きく大校旗を振りながら、

「フレー!、フレー!、サートーミ!」喉を振り絞り、叫ぶ。

・・・諦めない!絶対、絶対勝つんだから!

しかし・・・下位打線から始まった最後の攻撃で、3番春海、4番巧巳に打席は回らず・・・その日、里見学習院の校歌が、甲子園に響くことは無かった。



春海と巧巳は、涙を見せる事も、甲子園の土を拾おうともせず、グランドに一礼すると消えて行った。

客席のフェンスに噛付くように春海を見ていたいるかは、自分の視線を避けるように目深に帽子を被る春海に、どうしても声をかけることが出来なかった。

・・・いつもなら、必ず目が合うのに。

フェンスに阻まれながらも、どんなに距離があっても、いつもなら視線を交わす。

約束をした訳でもない。

いつも間にか、そうなっていた。

・・・こんなこと初めてだ・・・。

いるかはきびすを返して控室に向かった。

客席を駆け上り、通路を全力で走る彼女への声を無視し、警備員をも振り切って、里見学習院野球部控室に、春海のもとに向かう。

走りに走って控室前に到着すると、ちょうど里見の部員達が、反対側から歩いて来るのが、いるかの目に映った。

「みんな・・・。」

・・・何て言えばいいんだろう。

100%勝利を信じていたからこそ、彼らにかける言葉が浮かばない。

程なく、控室前のいるかに気づいた部員達は、汗と涙と泥まみれのまま、足早に駆けて来た。

「いるかちゃん。応援ありがとう。」

「副会長。元気もらいました。ありがとうございます。」

口々に、いるかへ感謝の言葉をのせながら。

今日までの試合、心から勝利を信じてエールをくれた。最後まで諦めず、俺達を信じて応援してくれた副会長の姿に、どれだけの力を貰ったことだろう。

「みんな、お疲れ様。あたしこそありがとう。」

自然に湧き出た、言葉と涙。

散々な前評判を裏切って、ベスト4まで勝ち進んだ彼らだ。

負けたのは悔しいだろう。どんなにか悔しいだろうと思う。

・・・でもあたし、本心から思うよ。

「みんな、かっこ良かった!」

いるかは涙をぬぐい、部員達に囲まれながら、

「すっごく、すっごくかっこ良かったよ。」と、笑顔で答えた。

さて、そんな彼らのもとに。

「こら君~~~!関係者以外は、勝手に入っちゃいかんだろ。」と、警備員が追いかけて来た。

振り切ったと思ったが、行き先を読まれていたらしい。

ぎょぎょっっ!と目を見開くいるかを見ながら、部員達は苦笑する。

・・・そう言えば、誰でも入れる場所じゃないか。いるかちゃん(副会長)らしいな・・・。

顔を見合わせる部員達を代表し、「彼女は関係者です。」と玉置が警備員に伝えると、

「そうですか。いやぁ、最近は凄まじいファンがいるものだから。」と、渋々ながらも警備員は通路を戻って行ったのだった。

・・・やっちゃった。春海のことで頭いっぱいだったしなぁ。

部員と共に警備員を見送りながら、「ありがとう。」と、口の端をちょっと引きつらせいるかは言い、そんな彼女を見ながら玉置は思う。

いつもなら真っ先に止める。いや、止めることが出来る唯一人を、彼女は目指して来たのだろう。

唯一人・・・それは、彼にとっても同じ。

笑って誤魔化すいるかに、玉置は静かに語りかける。

「山本は向こうに居るから。俺らじゃ・・・。」

目線と首で、春海を指し示した。

「いるかちゃん、行って貰っていいかな。」

彼女に目に、一人立ち尽くす、小さな影が映る。

すぐ判る、見慣れたシルエット・・・。

そのつもりで来たものの、彼らの顔を見て、もう一人を思い出す。

「巧巳は?」

取り囲む部員らをぐるり見渡し、表情を曇らせた彼女に、

「巧巳はこの中。」

玉置は親指を立てて横に向け、控室のドアを指差した。

「いつもそうだったから。」

そして、涙の跡の残る顔で、

「巧巳は大丈夫!俺らは、何度も一緒に乗り越えてるし。もう、一人では泣かせないから。」

そう、笑って言った。

玉置らの言葉に、いるかは「わかった。」と頷くと、小さな影を目指して歩き出した。

背後では、控室に入っていく、彼らの気配を感じながら・・・。

~最初の夏~③に続く


挿絵ですが諸事情により当分描けません。
ごめんなさい。


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