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~旅立ちの日~

こんばんは~juniです。

mameさんから新作です。

どぞどぞ~




~旅立ちの日~

出発時間が近づく。

彼らはホームの一角を陣取り、立ち話に興じていた。

幼馴染の少年達と、ある少女をきっかけに友人となった少女達。

倉鹿ではかなり有名人集団である彼らは、遠巻きに見守る視線も意に介さない・・・数人を除いては・・・。

「春海、とうとうこの日が来たな。」

長い黒髪の少年が、同じく黒髪の少年に声をかけると。

「いや、こいつにとってはやっとだろう。なぁ、春海。」

柔らかな色合いの髪の少年が、ちょっと意地悪い視線を伴わせ言い。

「いるかと、今日会うのか?」

ごつい風体とは反対の優しい気質の彼は、少しの寂しさと、良かったなという気持ちをのせて言った。

「いや、明日会う事になってる。」

会話の中心の黒髪の彼は、少し頬を赤くしたり歯噛みしたりした後、ほっと顔を和ませた。

その表情を見て、皆が困ったように笑った。

彼は故郷を離れ、東京へ向おうとしていた。たった一人の弟は父親に迎えられて、一足先にかの地に行っていた。

唯一人での旅路、馴染み深いもの達との別れ・・・しかしそうとは思えないほど、彼らは和んだ空気に包まれていた。

見送る者も、彼自身も、この地から去ることは、本当は心から寂しいのだ。

だがそれ以上に、安堵を覚えるのは何故だろう。

遠い地に帰っていった少女が、やっと一人では無くなる故だろうか。

それとも、彼女が去った後の彼を、見続けた故だろうか。

ともかく、別れにつき物の涙が入る隙は無いようである。

「あっちに着いたら連絡くれよ。」

「もちろん。」

「いるかちゃんの様子もね。」

彼らの会話を静かに聞いていたポニーテールの少女が、一番気がかりな名を口にする。

きっと、今か今かと待っているはずだ。

たった一人で、泣きながら行ってしまったと聞いた。

「ああ、わかった。」

彼は苦笑しながら答える。

彼女らにとって、自身は二の次・・・。

「なぁ、春海。言おうか言うまいか迷ったんだがさ。」

突然、長髪の少年が再び口を開いた。

出発まで後10分。

今言わなければ・・・。

「何だ。」

今更の口ぶりに少し顔を曇らせ、彼は問うた。

「お前は自分のことに関しては、結構・・・鈍感な所があるからな。俺らもここ数年で分かったんだが。」

「・・・。」

「お前が子供らしかった頃も、そうじゃ無くなった時分も、いるかが居た時もいなくなった後も、俺らは知ってるから。」

「ああ。」

この地に残る3人は、顔を見合わせた。

続きは俺が・・・と、茶色の髪の少年が言う。

「いるかが笑顔だったら大丈夫だ・・・お前もな。」

付け足した最後の言葉に、笑顔と、グットラックと親指をプラスして、彼は言った。

「そうだな。」

この場にいる者全員が(当の彼もが)理解し、笑いあった。

駅のホームに放送が流れ始める。

出発が近い。

最後に・・・誰となく言った言葉は。

「行ってこい。」

「行ってらっしゃい。」

”さよなら”ではない。

「ああ。行ってくるよ。」

”さよなら”は言わない。

「いるかちゃんと帰ってきてね。」

・・・いるかとね。

「わかった。」

黒髪の少年は、あの日の彼女と同じように、一人列車に乗り込んだ。

程なく列車が発車する。

ゆっくりとしたその動きに合わせるように、皆が手を振った。

涙の別れではない。

今までより、少し、距離があるだけだ。

彼女がココに心を置いていったように、俺も置いていこう。

「行ってくるよ。」

彼は小さく故郷に呟いた。

~出発の日~終わり


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コメント
おはよう?かな
倉鹿駅での光景が目に浮かびますo(^-^)o
『さよなら』じゃなくて『いってらっしゃい』
倉鹿の仲間達は何処までも温かくおおらか
読んで心がポカポカと温まりました

2010/11/12(金) 04:48 | URL | どるふぃん #-[ 編集]
No title
どるふぃん様
ご感想ありがとうございます。

倉鹿の友人達に、「さよなら」は似合わないですよね。
いるかちゃん大事の女性陣と、春海の幼馴染の男性陣。
彼らの繋がりは、心が温まります。
また、彼らの話が書けたら良いなと思います。

いつも、本当にありがとうございます。
遅筆に拍車がかかっておりますが、今後ともヨロシクお願い申し上げます。
2010/11/14(日) 22:07 | URL | mame #4SSKmKVw[ 編集]
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2010/11/15(月) 15:43 | | #[ 編集]
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