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~最後の冬~後編

こんばんは~juniです~。

特急で後編アップです。




~最後の冬~後編

いつもの公園と言えば通じる。

そんな関係が心地よい。

いるかは公園の入り口に立ち、春海が来るのを待つ。

彼を探し、自然爪先立ちになりながら、遠くへと視線を向けた。

気持ちが逸る。

こんなに長い期間会わなかったのは、中学以来だ。

・・・でも、時間をかけないようにしなきゃ・・・。

段取りよく、事を進めなくてはいけない。

「早く帰って、勉強しないといけないんだから。」

いるかは小さく呟いた。

本当は、春海の自宅付近で渡したかったのだ。

しかし過保護?な彼は、暗くなってから彼女が一人で出歩くことを、よしとしない。

季節は冬、暗くなるのは早い。

今は自由登校期間で、彼は朝から夕方まで、予備校の2次試験対策か、もしくは図書館に居り詰めている。

帰る時間に合わせ家の近くで渡しても、「暗いから家まで送る。」と必ず言うだろう。

いるかが断っても、絶対に譲らないと分かっている。

・・・私なら平気なのに。春海の頑固者・・・・。

最近、めっきり顔を会わせていない恋人を想ういるかの周りに、一陣の風が舞った。

「うわ、さむっ。」

いるかは左手に荷物を抱え直し、右手で舞い上がる髪を抑える。

片目を薄く閉じ、風下に顔を向け、風が止むのを1人待ちながら・・・。

「春海、早く来ないかな。」

いつも、いつも横にいた彼を、想った。





フウワリとスカートの裾が揺れている。

いるかの周りで遊ぶ風が、彼女の肩下まで伸びた髪を巻き上げた。

一段と綺麗になったように見えるのは・・・俺の気のせいか?

久しぶりに見るいるかの姿に、胸の鼓動が答えを迫る。

近くに居て苦しかった。でも、離れても苦しいだろ?ならばお前は、どちらを選ぶ?

答えは簡単だ。

同じ苦しむのなら、彼女の横を選ぶ。

数分前までは、いるかの事を想いだすのも辛かったのに。

今、迷いは消えた。

「いるか!」

「春海!」

ほぼ同時に、互いの姿に気付いたのだろう。

2人は微笑みあいながら、恋しい名を呼びあった。

春海が駆けよると、いるかも駆け寄ろうと足が動いた。

しかし次の瞬間、ハッとしたように歩を止める。

今から公園に入るのだ。彼に駆け込むのはどうだろう。

・・・会いたがってたのを春海が気付いて、無理するかもしれない・・・。

彼女のぎこちない動きに、春海は先だっての言動を後悔した。

天真爛漫な少女に同居する、繊細な優しすぎる心を思う。

「春海、元気そうだね。」

佇み待ったいるかが、春海を見上げて声をかけた。

今、目の前にいる笑顔の彼は、ほんの数週間前とは別人のようだ。

・・・あれでよかったんだ。

いるかは素直にそう思った。

「ああ、見ての通りだ。勉強の方も一段落ついたよ。もう、大丈夫だ。」

最後にウィンクを添え、春海がいるかに笑顔で答えると、

「そっか、春海が言うなら大丈夫だね」

いるかは、全幅の信頼をのせて春海に言った。

2人はひとしきり微笑みあった後、連れだって公園内へと向かった。

バレンタインデー、去年もこの公園だった。

1年の時と同じベンチで、チョコレートを。

・・・渡した。

・・・受け取った。

そんな音にならない言葉が交わされ、向かわせる。

2人はゆっくりと歩きながら、隙間を埋めるように話した。

「大学の練習には、もう顔を出してるのか?」

「うん、毎日じゃないけどね。男子と一緒にやってるよ。」

「そうか。お前なら当然だな。」

いるかと対等に走れる女子など・・・少なくとも国内には居ない。

「春海はどう?」

「俺か?やるべき事はすべてやった。後は本番を待つばかりだ。」

ニッと笑いながら言う姿、自信に満ちた見慣れた姿。

「そう、準備万端って感じだね。」

春海の笑顔に、彼の越えた山を見て、いるかは安堵する。

今日のこの日、もし春海の様子があの日と一緒なら。

・・・「会えない。」って、言われないだけましだけど・・・いるかは、一抹の不安を覚えていた。

・・・本当によかった。今の春海なら迷惑じゃないよね・・・。

今日は、日本中の少女が色めき、恋心を伝える特別な日である。

人一倍恋に奥手ないるかにとっては、特に・・・。

春海に、なかなか気持ちを伝えられないいるかに、魔法がかかる日・・・中学2年のあの日から。

ゆっくりと歩んでいた2人の目に、園内のベンチが映った。

時々寄り道するこの場所での、定位置でもある。

語りあい、笑いあう為の。

いつもの様にベンチに近づく春海の制服の端を、いるかは軽く掴んだ。

後ろに引かれる力に、春海が振り向く。

「こ、今年はね。チョコだけ・じゃ・・・。」

さながら背水の陣を敷くように言った言葉は、尻つぼみして、風に掻き消えた。

・・・勇気!出てこい!・・・いるかは祈るように自分を応援する。

制服を掴んでいた手を放し、紙袋の中からチョコレートを取り出す。

そして、緋色のリボンの箱を差し出した。

うつむいているせいで、春海からはいるかの表情は見えない。

しかし、髪の隙間から見える真っ赤な耳が、全てを物語っている。

「ありがとう。」

春海は、震えるいるかの手からそっとチョコレートを受け取ると、嬉しさに微笑んだ。

・・・毎年緊張してるよな。可愛すぎる・・・。

そう思い、吹き出しそうになりながら。

・・・抱きしめたい!キスしたい!・・・どうにかなりそうだ・・・。

突如湧き上がる欲情に、体を固くした。

言葉が途切れ、ピンと空気が張りつめる。

彼女の緊張が彼に移ったのか・・・?その逆か?

「はーーー。」

いるかは大きく深呼吸した。

そして、ありったけの勇気を振り絞り、顔を上げた。

「それとねもう一つ・・・。」

意を決して、言葉を紡ぐ。

カサッ!

彼女の手から紙袋が離れ、小さな音をたてた。




・・・こうすればいいから・・・いるかの頭に響く、従妹の言葉。

春海の目に、すべてが、映画のワンシーンの様に映った。

目の前の少女だけが、妙に鮮明で。

・・・一生忘れられないだろう・・・後から思った。

彼女の両手がゆっくりと動き、その白い指が首元に触れた。

ホロリと、音もなく解かれたマフラーの下から現れたのは、彼の手の中の物を飾るそれと・・・等しく見えた。

緋色のリボンが、いるかの白い肌をより際立たせて、誘う様に揺れている。

周囲でずっと遊んでいた風が、少女の緋色のリボンを舞い上げた。

彼女はゆっくりと・・・スローモーションの様に・・・近づいてくる。

春海は、信じられない現象を見るように、いるかを見つめた。

・・・夢じゃないのか?・・・。

ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!

鼓動が耳を埋め尽くす。

春海が小さく震える指で緋色のリボンに触れると、いるかの体も、小さく、震えた。

彼はそっと持ち上げ、緋色のその先に、優しく優しく口づけした。

そして感極まったように、愛しい少女を抱きしめた。

言葉は無い。

そこにあるのは、胸に抱いた感触と少女の熱が教える現実感、喜びと同じ大きさで襲い掛かる失望感だ。

・・・きっといつもの夢だ。現実の訳がない。ああ、このまま目覚めたくない。・・・。

そんな鬩ぎ合う彼の全身全霊を、少女の細い両腕が、強く強く抱きしめた。

いるかの痛いほどの想いが、春海に現実であることを伝えた。

・・・夢じゃないのか・・・。

怒り、恋しさ、優しさ、寂しさ、憎しみ、愛しさ・・・俺が知らなかった、全てを与えてくれた君。

正しすぎて中身のない人形に、熱い血の存在を教えてくれた君。

1人では生きられないと、気づかせてくれた君。

春海に、諸々の感情が湧き上がる。

求めて求めて・・・どうしようもなく求めた存在が、手の中に降りてきた。

「ありがとう。一生、大切にするよ。」

春海は、いるかの耳元に囁くと、唇を彼女の口元に移動させ、深く長いキスをしたのだった。

~スイートバレンタイン~終わり



うわ~(///∇//)
mameさんありがとう。
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コメント
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2011/08/13(土) 17:21 | | #[ 編集]
キャー
甘いです~
まさにスイートバレンタインですわ
2011/08/16(火) 13:28 | URL | 亮 #-[ 編集]
(〃ノωノ)キャー
一生大切にして~!!
ニヤニヤがとまらない( *′艸`)+
素敵だなぁ。
2011/08/27(土) 05:59 | URL | 和流 #V0Zz7F9Q[ 編集]
No title
長く~甘い~口づけを交わすv-266の歌みたいv-238いや~mameいいよ!いい!。juniv-237そのうち・・・いるかちゃんのおしゃれした姿書いてよ~暇になったらv-10
2011/08/31(水) 00:07 | URL | パンダ #-[ 編集]
亮様へ
ご感想ありがとうございます。

特に春海(笑)にとっては、スイートバレンタインになったかもしれません。

楽しいコメント、またお待ちしております。
2011/09/01(木) 22:22 | URL | mame #-[ 編集]
和流様へ
可愛い顔文字付のご感想、いつもありがとうございます。

> 一生大切にして~!!

高校生らしからぬ言葉でしたが、違和感なく頭に浮かびました。

> ニヤニヤがとまらない( *′艸`)+
> 素敵だなぁ。

mameこそ、和流様の顔文字ご感想で顔が緩みました(笑)
2011/09/01(木) 22:46 | URL | mame #-[ 編集]
パンダへ
感想ありがとうね。

> 長く~甘い~口づけを交わすの歌みたいいや~mameいいよ!いい!。
> juniそのうち・・・いるかちゃんのおしゃれした姿書いてよ~暇になったら

気に入ったみたいで嬉しいな。

juniのイラスト・・・当分無理じゃないかな。
2011/09/01(木) 22:52 | URL | mame #-[ 編集]
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