いるかちゃんヨロシク 二次小説 ファンサイト イラストこんばんはjumiです。最終話をアップします。
~その後の物語~2人 ⑦最終話自分に素直になるのは難しい。
人に正直になるのも難しい。好きだからこそ、良く思われたい。
その当たり前の感情が、物事を難しくする時もある。
感情のまま、正直すぎる行動が、誤解を招く時もある。
先に書き上げたのは、春海だった。
いるかの様子を窺うと、彼女はまだペンを動かしている。
春海とて、初めての作業で戸惑いはあったが、あえて書き出してみると、何と単純なことか。
自分が見えたな。もう少し複雑な人間だと思っていたが・・・。可笑しさを隠せない。
くっくっくっと春海は苦笑した。
その声(音)がいるかの耳に入る。
もう、書き終わったらしい春海は、何故か面白そうに笑っている。
あたしを見て笑ってる訳じゃないみたい・・・自分で書いたのを見て笑ってる?
好奇心が湧き上がる。
早く自分のを書き上げないと!と、いるかは手を走らせた。
「で~きた~!」
彼女は威勢よく両手を上げた。
先程までの気持ちは何処へやら・・・自分を整理すると、こんなに清清しいものだろうか。
春海が立ち上がり、いるかの隣に座る。
何となく紙の上に体を被せて、中身を見えないようにした。
「いるか見せろよ。」春海も不敵な笑みをのせて言う。
「え~~~、春海の先に見せてよ。」いるかは唇を尖らせて言い返した。
「・・・せーので見せ合おう。それならいいだろ。」
妥協案を提示する春海に、いるかはニヤッと笑い
「じゃ、せ~の。」掛け声をかけることで同意した。
「はい!」
二枚の紙、並べられた箇条書きの文章。
見入る2人・・・そして、お互いの顔を見合わせ、2人で苦笑した。
おもむろに、春海は内容を読み出す。
「俺の今一番大事なことは、いるかの傍に居て、いるかの笑顔を守ること。」
いるかも、頬を染めながらも後に続く。
「あたしの今一番大事なことは、春海と一緒に高校生活を送ること。」
誓いに似た響きが部屋を満たす。
「俺の将来の希望は、弁護士になる事。いるかと俺の家族が一つ屋根の下に暮らして、一番傍で、愛する人の笑顔を守りたい。」
「あたしの将来の夢は、春海や皆と出会った倉鹿修学院を守る。それと・・・春海と、ずっと一緒にいたい。」
いるかは、胸がすっと軽くなるのを感じた。
春海は、照れくさそうに語りだす。
「いるか、俺はさ。いるかに出会ってから、やりたいことをやってるよ。」(少なくとも、鹿鳴会の連中が驚くくらいには。)
「巻き込みたくないってお前は言うけどな。俺の本音を言わせて貰えば、巻き込まれたいんだよ。」
そこで、照れたような表情が一転した。
「何も言わないで・・・消えられることには耐えられない。俺の道っているかは言ったよな。俺は、2人の道にしたいんだ。」
春海の胸の中に、苦い思い出が甦る。あの夏の日と、ついこの間の家出騒動。
「何でも言ってほしい。関わらせて欲しい。巻き込んで欲しい。俺が欲しいのは、いるか、君だけだから。いるかだけなんだよ。」
彼の、狂おしいほどの、真直ぐな想いに囚われる。
どう答えていいのか分からない。
でも、あたしも・・・あたしが、正直にならなくちゃ。
「春海、あたしね。春海と、皆と出会った倉鹿修学院を、守りたいんだ。」
「それで?」
「如月いるかじゃないと、駄目なんだって。爺ちゃんの跡を継げないんだって。」
「そうか。」
「あたしね。春海とずっと一緒がいい。け・・けっこんする人は、春海じゃなきゃ、誰もいらない。」
「俺もいるかだけだよ。」
優しく微笑んで、即答する。
2人は静かに見詰めあうと、お互いが書いた紙に視線を移した。
いるかはもう一度、春海の書いた希望を読み返し、ついで自分の正直な気持ちを見て・・・春海の言葉を胸の中で反芻する。
俺は2人の道にしたいんだ・・・あたしも、そうしたい。
目を閉じ、すうっと深く息を吸い込み、深く、深く、モヤモヤ渦巻いたいたモノを吐き出して・・・。
意を決したように、春海の方を向き、右手を突き出し、言った。
「春海、私と将来結婚して下さい。き、如月春海になって下さい。」
春海は、一瞬驚いて目を見開いたが、
「喜んで。」
大したことでも無い事のように、すっとその手を取り、握り返し、グッと引き寄せた。
そして、ポフッと胸に収まったいるかを、春海はぎゅっと強く抱きしめる。
一瞬見失った彼女が見えた安堵。
「本当にいいの?マスオさんになるんだよ。」
プッ!
いるからしい表現に、ついつい噴出す。
「弁護士になるのに、何の問題も無いだろ。一番大事なのは、いるかの隣に、俺が居ることだからさ。だから、その為にも・・・」
そう言いながら、なお一層強く抱きしめる。
「これからは、何でも話してくれるか?巻き込んで欲しいんだ。それが、俺の、望みなんだ。」
胸の中で、いるかは小さくコクリと頷き、顔を上げ。
「今度からは、春海に何でも言うよ。今までゴメンね。」
そう呟く。
春海が腕を緩め、彼女の頭を優しく両手で囲い込むと、いるかはおずおずと春海の頬に触れた。
コツン
そして2人は、優しくおでこを合わせ、微笑みあったのだった。

翌日の放課後、野球部室でのことである。
「巧巳、誰にも内緒で相談したいことがあるんだが。」
春海が、チームメイトの背中に話しかけた。
何だ?!と、ベンチに座っていた巧巳が首を上げ振り向き、
「珍しいな。頭脳明晰生徒会長殿にしては。」と、ワザと茶化すようなセリフを返す。
対して春海は、本当に困った表情で・・・。
「茶化すなよ。巧巳にしか出来ない相談なんだよ。」と答えた。
普段見せないその顔、初めて聞くその言動。
「すまん。内容は何だ。」
その光景に驚きながらも、今度は真面目な表情で、体ごと春海の方を向き見上げる。
すると安心したように、春海は事の様を話し始めたのだった。
程なくして、彼の一応の話が終わる。
成る程な。
確かに俺に相談するはずだ・・・と巧巳は納得し、春海に一言いった。
「丁度、良い話があるぜ。明日には詳しく話せると思う。」
そして笑いながらもう一言。
「俺にも最近悩みがあってな。今の話、最高のタイミングだったよ。」
そう答える巧巳に、春海は一瞬困惑した。
が、しかし、信頼する彼の言うことだと、思い直す。
そして・・・。
「宜しく頼むよ。」と一言だけ言った。
その翌日、春海と巧巳の悩みが解消されたのは、2人だけが知る秘密である。
~その後の物語~2人 終わり
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最終話後日談もあるのかな~。
いるかちゃんからのプロポーズですね^^
かわいいんだわ~ん(*´▽`*)
春海は幸せだし、いるかちゃん可愛いし
コツンにやられちゃった
・・・最後が気になりまする