いるかちゃんヨロシク二次小説ファンサイトイラスト画像mameです。
先日ご報告しておりました「大晦日のお土産話(春海編)」を更新します。
宜しければお付き合い下さいませ。
~その後の物語~ 大晦日のお土産話(春海編)
「いるかにプロポーズされた。」
ブ~~~ッ!!!
三人は、春海の一言に、そろってお茶を噴出した。
「汚いなぁ。」
そう言いつつ、爆弾発言の本人は、頬を染めている。
「相変わらずぶっ飛んでんな。公衆の面前で告白したと思ったら、今度はプロポーズか。」
一馬が顔を引きつらせて言う。
ほんのこの前、お見合いにからむ家出事件を起こしたばかりだというのに、話題に事欠かない2人である。
「それと、お前らだから言っとくよ。俺、将来、如月春海になるから。」
先程までの表情が、一転して真剣な眼差し・・・プライドが高く、孤高だった頃を知る幼馴染は、感慨深く彼をみた。
春海自身が決めたことだ。
「お前が良いなら、別にいいんじゃないか?」
進が言う。
「俺らにとっては、山本春海だろうが、如月春海だろうが、同じだしな。」
兵衛が笑いながら言い、一馬が頷く。
いるかを追って東京に行き、まして、家出した彼女を、学校を・・・すべてを放り出して、新潟まで追いかけて行った彼だ。
きっと、一番大切な人を得る為なのだろう。今更、驚く事ではない。
少なくとも、常識の範囲内なのだから。
「そう言ってくれると思ったよ。」
和んだ面持ちで、進・一馬・兵衛の顔を見回す。
いるかと出会ってから気付いた事の中で、最高の一つ。
奇跡のような彼らの存在。
大晦日の前日、女だけで!と言い張る彼女らを止める術も無く、泊りがけの男だけの集まりが、太宰家で行われている。
「いるかが、倉鹿修学院を守りたいって言ってさ。」
春海は、幼馴染に説明する。
「倉鹿道場時代からの伝統で、如月家の当主が、道場の流れをくむ修学院院長を継ぐことになってる・・・だろ。」
実はこの話、倉鹿で剣道をやっている者にとっては、それなりに有名な話である。
いるかだけが知らなかったと言っても良い。
「あいつが言うには、如月家の親戚っていうのが一癖も二癖もある人達で、いるか曰く”如月家一番のいばりんぼ”だそうだ。」
あいつら大嫌い!!!眉間に皺を寄せ、大声で言い放ったいるか。
「・・・そりゃまた、学院長といるかからは、程遠い親戚だな。」
一馬が口を開く。
4人は、隔世遺伝としか表現しようの無い、祖父と孫を思い浮かべる。
名家・旧家・格式高いはずなのに、フランクというか・・・飛びぬけているというか。
全国大会の合宿、いるかがお嬢様と知った時のあの驚き!、つい先日も、忘れていたくらいだ。
「成る程ね。いるかはたった一人の直系の孫だから、いるかが嫁に行けば”如月家一番のいばりんぼ”の誰かが、修学院を仕切るわけか。」
もっとも聡い進が、つらつらとすすめると。
「あいつが言うには、リコール前の、里見学習院みたいになるだろうってさ。」
春海が完成させる。
3人は、春海からの手紙で、2人の入学当初の里見修学院を少しは知っている。
たしかに、稀に見る名門校として、ずっと続いているが。
学校の名誉の為なら、すべてを闇に葬り、生徒が泣きをみることも辞さない・・・校風。
「いるかは真直ぐだし、弱い者の味方だからなぁ。面白くないだろうな。」
兵衛が一言いった。
「まぁ、少なくとも、エリート意識はそうとう強い方々らしい。」
春海が、もう一言添えた。
これまた・・・あの2人からは程遠いと皆が思う。
確かに、あの一風変わった伝統を継げるのは、いや・・・継ぐのは、いるかくらいのものだろう。
そして、たった一年半しかいなかった倉鹿修学院を、こんなに大事に想ってくれている仲間が誇らしい。
「春海は、いるかの夢を叶えてやりたいわけだ。うん?」
ニヤニヤと笑いながら、一馬が言った
「その為に、如月春海になると。」
進が続く。
「春海の将来に、影響は無いのか?」
優しい兵衛の一言に、春海は答える。
「ああ俺は別に、親父の仕事を継ぎたい訳じゃないから、何の支障も無いよ。」
「そうか。」
にっこりと彼は微笑み
「だったら2人とも、近い将来、倉鹿に帰ってくるわけだ。」と言った。
嬉しさを確認するようなその一言に「ああ、いるかと2人で帰ってくるよ。」と、春海は笑顔で答えた。
「にしても、お前の父親、よく許したな。」
一馬がポソッと言う。
昔から(・・・特に母を亡くしてから)あまり仲のよろしくなかった、春海と父。
仲が良くないというより、春海が一方的に毛嫌いしていたと言った方が正しい・・・と、3人は思っている。
「親父には、家出事件の後、代議士は継がないとはっきり言ったよ。それと、いるかが望めば如月になるってこともな。許しは貰ってる。」
その柔らかな物言いは、彼が父を語る時には、今まで一度たりとも見られなかったものである。
あまつさえ、笑顔さえ湛えている。
へぇ~~~っと彼らの視線が春海に集まった。
変われば変わるもんだ・・・。
いるかとの出会いは、この幼馴染の人生に、どれだけ笑顔を増やしていくのだろう。
その上、以前は目立ちたがりだったのに、いるかが現れてからは、縁の下の力持ちを素でやっている事に、本人は気付いているのだろうか?
「愛だな。」
「愛だねぇ~。」
「・・・五月蝿い!」
春海は真っ赤になりながら、噛み付くように言った。
「親父さんともいい感じのようだな。良かったな。」
兵衛は、春海を見ながら、安堵の笑みと共に呟いた。
「とにかく、春海といるかの無事の帰還を祝って、乾杯でもするか。」
進がそう言うと、缶入りの飲み物を皆に配る。
「お!タコハイかよ。気が利いてるな。」
一馬が、受け取るやいなや、缶を開けながら言う。
メンバー全員が、雪山ツアーを思い出しているのを肌で感じながら、おのおの目配せし「乾杯!」と祝杯を挙げた。
軽いとはいえ、アルコールが入れば口が軽くなるというものだ。
きっかけは些細なこと。
「明日のことだが、夜に集まるだろ。女性を一人で夜歩きさせるわけもいかないからなぁ。」
相変わらずの責任感の強さに、性分だねぇ・・・と進が視線を送った先は、もちろん春海である。
「銀子と杏子は俺が迎えに行く。」
兵衛がずいと身を乗り出していった。
彼にとっては、元スケバンの銀子もかよわい女子なのだ。もちろんその親友も。
「湊は俺が迎えにいくよ。」
一馬が言ったとたん視線が集中し、当の本人は、しまったぁっと顔を背けた。
「・・・へぇ、日向じゃなく湊なんだ。いつからだよ。」
ここぞとばかり、春海が突っ込み、
「ついこの間までは日向だったよな。・・・なぁ、兵衛。」
進が兵衛に確認すると、彼は「確かにそうだったな。」と返した。
話すのが嫌なわけではない。
揶揄われ、魚にされるのが目に見えていたから、自然にまかそうと黙っていたのに。
「クリスマスに告白した。OK貰ったんだよ。」
アルコールのせいばかりではないらしい。
精悍な顔が、どこまでも真っ赤になっている。
進は、そんな一馬を見ながらタコハイを持ち上げ、言葉を続ける。
「・・・長かった片思いに終止符か。もう一回乾杯するか?」
えっ!?っと、春海と兵衛が進を見た。
一馬は、何故それを!!!と目を見開く。
そんな事はお構いなくと、進が声を挙げる。
「ほら、もう一回乾杯するぞ。一馬の恋の成就に乾杯!!!」
3人は、わたわたと彼の後に続いて乾杯し、今日の魚は俺か・・・と、一馬は深くため息を吐いたのだった。
その隣で、春海は、少々複雑な心境で進を見ていた。
当然のように彼はその視線に気付き、「何だ春海?」と怪訝な様子だ。
「いや別に、それじゃ大川は・・・俺といるかで迎えに行くよ。」
言葉を濁すために、春海はそう言ったのだ・・・他意は、まったく無かった。
実際、誰かが迎えに行くべきで、いるかは喜んで行くと言うだろう・・・そう思ったまでだ。
一瞬の間の後。
「いや、俺が行く。」
突然進が、語気を強めて言った・・・春海には見覚えのある、その顔。
「お前、大川が好きなのか?」
珍しい彼の声色に、一馬がやったとばかりに、しかしかなり驚きを含め突っ込んだ。
「え?別に。そんなこと無いと思うけどな~。」
しれっと進が答えると、一馬がコケ、兵衛と春海が顔を見合わせる。
(・・・こりゃ、確かめないとな・・・。)
小さな波紋を残しながら、男4人の夜は更けていったのだった。
~終わり~
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mame様もっと出してくださ~い