いるかちゃんヨロシク二次小説ファンサイトイラスト画像大変ご無沙汰しておりました~juniです。
mameさんより久しぶりに新作が送られて来ましたので更新します。
三日前までパソコンが仮死状態で泣き泣きでした。
何とか復活 データも無事でしたぁ (T T)
~その後の物語~ 大晦日のお土産話(祖父と5人編 ①)
二人の心は決まっている。
まずは、おのおのの両親に話をした。
鉄之助は手放しで喜んだ。
自分が長男であり、本来ならば如月家の後(いるかに婿養子)を考えねばならない。
しかし、可愛い一人娘を家の犠牲にはしたくないと、目を瞑っていた。
先だっての行動の理由には、それも含まれていたのだ。
周囲にイロイロ言われる前に、望まれて望まれていく・・・断ることさえ難しい縁ならば、周囲も納得するだろう。
上野介とて一緒で、本当は分家の口さがない者等にアレコレ言われたくもないし、修学院のことも、本心を言えば・・・いるかに継いで欲しかった。
が!それはとどのつまり、婿養子を迎えるということ。
困ったことに、如月いるかの婿養子なら喜んで!と、ごり押ししそうな連中は片手では足りぬのに、孫を幸せに出来るような器の持ち主は居なかったのだから。
この者ならいるかを託せる!そう思った教え子は、どう考えても山本家が手放すとは考えられない、頭脳・技量・器、全てを持ちえている。
少々?いやかなり強引なやり方だったが、2人に接点は持たせた。
後はなるようになろう・・・と、期待していなかったが、瓢箪からコマが飛び出した。
信じられないことに運良く?双方惹かれあい、それだけでも嬉しい限りと十分満足していたのに、彼にとっては・・・上野介の可愛い孫は、かつて自分も出会った「珠玉の女」らしい。
内心驚きつつも、愛する孫が幸せになれる最高の相手、必ず娶わせるやりたい。
ご先祖様には申し訳ないが、可愛い孫の幸せにはかえられないのだから。
嫡流の存続など諦めてしまおう・・・そう決意した矢先、沸き起こったのが家出騒動だったわけだ。
少々複雑な気持ちになりながらも、春海の父へは言うだけのことは言って、後は本人達次第と納めた。
いるかと春海、2人の防波堤になり、彼らが漕ぐ舟が求める所に行き着けば、それでいいと考えたからだ。
あの責任感の塊のような春海が、まして山本家が、こんなに簡単に婿養子を了承するとは・・・思ってもみなかったのだ。
「年末に2人が行きますので、宜しくお願いします。」と、両家から連絡が入り、
「春海から話は聞きました。宜しくお願い致します。」という春海父には、心底驚き申し訳なくなり。
「春海君が婿養子になってくれるそうです~。」と鉄之助から喜びの電話が入ると、上野介は一喝した。
「何をすべて子供任せにしておる。気兼ねしておるやも知れぬだろう。人一人、いや、二人の人生と家など、比べようもなかろうが!」
鉄之介は肩をすくめつつも、
「でも、これで如月家は安泰ですよ。あちらには弟さんもおられることですし。」とのたまった。
それに対して、
「とにかく、年末にいるかと春海が来た時にわしがじっくりと話すわ!」と怒りを顕わにしたのだった。
早朝2人して東京を出発し、昼過ぎ?いや夕方といったほうが正しいのか、倉鹿に到着したいるかと春海は、早速如月邸へと向かった。
もちろん、祖父・学院長と話をする為である。
その日は、春海は進の家に泊まり、いるかは学院長宅で女子宿泊会が決まっていた。
面々がそろう前に、大事な話をせねばならないと、2人は挨拶もそこそこに祖父と対座した。
「祖父ちゃん、話は聞いたと思うけど、あたしが如月を継ぐから。」
春海は静かな表情で横に座っている。
行きの列車の中で、まずは2人の気持ちを伝えようと相談したのだ。
父鉄之助から、祖父は喜びの声を発しなかったといるかは聞き、その事を春海に話すと、いるかの気持ちと・・・それを応援したい自分の気持ちを伝えよう、という事になった。
「家のことを気にかけてくれるのは嬉しいが、お前たちのようなヒヨッ子に心配してもらう必要はないわ。」
上野介は言い放つ。
瞬間湯沸かし器のいるかは、カーッと頭に血をのぼらせたが、横に座っていた春海が、いるかの服の袖を軽く引っ張る。
そうだった・・・。祖父ちゃんは、あたし達の為に反対をするだろうって春海が言ってたっけ。
学院長はきっと、お前がカッとなるようなことを言うだろうが、それはそれとして、自分の気持ちをシッカリと言うんだ。
俺の本心、いるかは解っているだろう?学院長にはきちんと説明するさ。
きっと理解して頂けるよ。
「心配なんかしてないよ。祖父ちゃんには悪いけど、別に如月家なんてどうでもいいんだ。」
孫のあまりな発言に、祖父は蛸のように口先をのばし、何じゃこいつら何しに来た?と言わんばかりに、かわるがわる2人を見た。
「確かにさ。孫はあたしだけだから、考えなきゃいけないのかも知れない。でも、父ちゃんと母ちゃんから気にするなって言われたし・・・」
いるかはそう言うと、祖父の顔を覗き見た。
「祖父ちゃんだってそうだろ。」
そして、にっこりと笑った。
拍子抜けしたのは上野介で、どうも自分の考えていた事とは違うらしいと思う。
「あたしが如月を継ぎたいと思ったのは、倉鹿修学院が大好きだからだよ。一年半しか居れなかったけど、心から大好きなんだ。」
いるかは自分の思いを祖父に伝えようと必死だ。
「ほんとに倉鹿修学院って変だと思うよ。あまりにも祖父ちゃんらしくて、何だこりゃって最初思った。」
言うに事欠いて、学校の最高責任者と、3年間生徒会長を勤めた者の前で言う言葉とは思えない。
こいつめ(は)・・・と、2人はちょっと睨む。
「でもさ、みんな凄く楽しんでて、元気が良くて、真直ぐで。」
懐かしいなぁ・・・と少し寂しげな表情に、祖父と春海は最後の夏を想い出した。
結局、一番寂しい思いをしたのはいるかなのだ。
倉鹿修学院を、どれ程卒業したかったろう。
たったの一年半、それをきっかけに人生を決めようとしている。
だからこそ、応援したい・・・そう春海は思った。
「祖父ちゃんがさ、春海と出会わせてくれた場所だしね。」
さらっと気なしに言う言葉に、彼の胸が熱くなる。
「修学院を守りたいんだ。祖父ちゃんごめんね。如月家は、ホントにどうでもいいんだ。へへへ。」
彼女が一呼吸置くと、上野介が口を開いた。
「いるか、お前はそんなに倉鹿修学院が好きか?」
「うん。」
いるかは即答すると、つづけて
「多分ね。修学院を辞めなきゃいけなかったり、里見に行ったから気付けたんだ。ココがあたしにとってどれだけ大切か。」
首を傾げて尚を言葉を探す。
「去年の夏、倉鹿を去る時にね。ここでの1年半を、十年たっても二十年たっても絶対忘れないって思った。」
そう・・・
「だってさ、忘れられない思い出がいっぱいだもん。そしてね。ココが変わるのは絶対いやだ!って事にも気付いたの。」
里見みたいになったら・・・。
「十年、二十年後の倉鹿修学院を守れるのはあたしだけでしょ。それって凄いことじゃん。ラッキーって言うかさ。」
そういうと、いるかはにっこり笑って、
「だからさ、祖父ちゃん。倉鹿修学院をあたしに頂戴。」
両手を差し出して、単刀直入に言う。
「いるか、一応言うておくが、倉鹿修学院を継ぐということは、もれなく如月家当主がついてくるのだぞ。」
グリコのおまけみたい・・・いるかはちょっと可笑しくなった。
「しょうがないよ。何とかなるよ。」
如月の当主の座が欲しくて、やいのやいのと言ってくる連中が聞いたなら、どう思うのだろう。
わが孫ながら、これも器の大きいやつと思いながら、隣の大器を見た。
「いるかの気持ちはよう分かった。のう春海、お主はこれで良いのか?」
「はい。」
これまたにっこりと、一点の曇りなく微笑み、言いのける。
「僕の希望は、法曹界に入ることです。多分、学院長はお気付きだったのではないですか?」
上野介は頷きつつ、答えた。
「そうじゃな。検察官になりたいと文集に書いておったろう。何とも渋い奴!と印象に残っての。」
顎鬚を触りつつ、ほっほっほっほ!と笑う。
「すべての生徒の分とは言わぬまでも、入学者に関しては、出来るだけ知る努力をしておる。」
祖父は教育者としての姿を垣間見せた。
いるかは春海を除き見た・・・検察官?弁護士じゃなく?
「いるかに出会ってから、少し考えかたが変わったんでしょう。官憲の力に頼らず、自分の能力のみで戦ってみたくなりました。」
春海は力強く言う。
「特に、冤罪問題や弱者救済に興味があります。今は弁護士になりたいと思っています。それに弁護士ならば、ずっと倉鹿にいれますから。」
すっきりとした顔で言い切る姿に、上野介は自分の杞憂を理解した。
「そうか。そうか。お前達の気持ちはよう分かった。わしとしては嬉しい限りだが・・・」
上野介はいるかに視線をやると
「いるか、後はお前の頑張り次第じゃな。馬鹿に倉鹿修学院はやれん!」
ふんっと腕を腰にやり、胸を張って祖父は言ったが、その態度とは裏腹に、その顔は喜びに溢れかえっていたのだった。
~②につづく~
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先が楽しみです^^
いつもご感想ありがとうございます。
楽しみと言って頂けるなんて、本当に有難いです。
今後ともヨロシクお願い申し上げます。