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~文化祭~Xday 人魚姫 ④~

いつもありがとうございます。
mameです。

やっと本題に入ります。
これまでの展開にご不快を感じた方は、読むのを止めてくださいね。

もし宜しければ、お付き合い下さいませ。

~文化祭~Xday 人魚姫 ④~

9:30

プーーーーー!

「これより、里見生徒会協賛 演劇「人魚姫」を開始いたします。」

放送部のアナウンスが入ると、定刻通り「人魚姫」は開演した。

暗い舞台の上、白いスクリーンには、薄く映し出された中世の船と月。

その船を見上げながら、客席に背を向け、岩礁に座る人魚。

「陸地から遠い遠い海の底に、海の王様の国である、人魚の国がありました。」

舞台下にはスタンドマイクと3台のカメラがあり、放送部のナレーションは続く。

「王様には6人の美しい姫がいました。お母様のいない姫たちは、優しいおばあ様に育てられました。おばあ様は毎晩、6人の姫たちに、海の上のお話をして下さいます。月や星のこと。人の住む陸地のこと。」

しんと静まった体育館に、微かに波の音が響く中、ゆっくりと語られる。

「その中でも、一番下のお姫様は、海の上のお話を聞くのが一番大好きで、熱心に聞き入るのでした。一番下のお姫様の宝物は、難破した船から持ってきた、美しい王子様の像でした。」

ザザーン、ザザーン、強められた波の音がその場を満たすと同時に、人魚姫の髪が風にゆれる。

「おばあ様は言われました。あなた達が15才になったら、海の上に浮かび上がって行くのを許しましょう・・・・・。」

突如、スポットライトが点き、流れる金髪を輝かせると、皆の目が彼女に集中した。

「そう、今年は、海の上の世界を見ることを待ち遠しく思っていた、一番末のお姫様の、15歳の誕生日なのです。」

白いスクリーンに映し出された帆船と、流れるワルツ、そしてそこに立つ王子、見上げる人魚姫・・・。

皆が見守る中、「人魚姫」はスタートした。



いるかの台詞が多い、深海の老婆とのシーンが終わると、一堂が胸を撫で下ろした。

これから先は、声を失った人魚姫。

ハラハラすることは少なくとも無い訳だ。

巧巳に関しては、練習を見ていた限りそういった心配は無用のようで、もちろん春海は論外。

老婆役のマキ、加納、玉子、他端役の台詞はたかが知れている。

さぁ次は、最初の山場、王子と人魚姫の出会いのシーンだ・・・玉子は、海岸に座るいるかを、舞台袖から見る。

王子が人魚姫に助けられるシーンでは、巧巳は客席に顔を向けた状態だった為、目を閉じていた(演出で閉じさせられていた)。

つまり、初めて、間近で、目にするのだ。

人魚姫に扮したいるかを。

城下の海岸に一人佇む、途方にくれた少女(人魚姫)。

従者(近衛道)と共に、海岸を歩く王子が、彼女に気付き近づく。

「このような場所で、どうされ・・・」

王子の呼び掛けに、人魚姫がゆっくりと顔を上げ、微笑んだ。

いるかちゃんヨロシク画像 山本春海


「まし・・・・・・。」

王子の台詞は続かない・・・従者の台詞「美しい少女ですね。」も出てこない。

練習通りにした・・・はず?あれ?間違った?

いるかは・・・顔を上げ微笑んだまま、首を傾げた。

その時である。

流星が2個、王子と従者の後頭部へ直撃し、

パカッ!パカーン!!!

軽快な音と共に、いずこかに消え去った。

「!」「!」「!」「!」「!」「!」

一瞬の出来事に、会場の誰もが面食らった中。

先に我に帰った巧巳が、夢から覚めたように小さく体を震わせ、王子の台詞を口に乗せた。

「このような場所で、どうされました。」

彼がそう言うと、近衛道も「美しい少女ですね。」と後に続く。

「あなたは何処から来たのですか?」

いるかも、一瞬の出来事に目を見開いたものの、途切れた話が繋がったことに安堵し。

そう、あたしは口が聞けない人魚姫・・・彼女は、ただただ首を横に振る。

「この娘は、口がきけないようですね。」

従者の言葉に、人魚姫は一瞬動きを止め、頷いた。

「このようなところでは、濡れて風邪を引いてしまいますよ。私のお城にいらっしゃい。美しい方。」

王子がゆっくりと手を差し出すと、人魚姫は、喜びの笑顔で、その手を取る。

・・・いるか!大事なシーンだからね!!今まで一番、一番嬉しかった事を思い出すんだよ!本番だけで良いからさ!・・・とは、もちろん玉子の談。

里見学習院の合格発表、春海に抱きかかえられた時の事を思い出す。

嬉しくて嬉しくて、又一緒に居れることが嬉しくて!!!!!

美しい少女の、零れんばかり溢れる笑顔に・・・再び時は止まった・・・。

と同時に、壇上の男の後頭部に、ベシペシッ!と、2つの流星が煌く。

巧巳は、反射的に舞台袖へ首をひねり、犯人を睨んだ。

その瞬間!

バン!!

ひときわ大きな流星?いや隕石が、彼の顔面を直撃し、客席に消えていく。

ドワワワワ~~ッ! 沸き立つ笑い。

「がんばれ王子!」

「人魚姫最高!」

飛び交う激賞?

「嫉妬するなよ。お姫様!」

最後の言葉に、一際笑い声が大きくなる。

寸分の狂いも無いコントロール、姿は見えずとも、誰かは一目瞭然。

王子は舞台袖に視線をやり続け、そこからは殺気を帯びた隣国の姫が王子を睨み、

「・・・・」

お互い微動だにしない。

困った人魚姫が、王子に握られたままの手を軽く引くと、はっ!としたように巧巳はいるかに視線を戻し、台詞を続けた。

「ここからも見えるあの城です。一緒に参りましょう。」

その言葉に人魚姫は安心したように頷くと、手を引かれ城に向かった・・・舞台袖に消えていった。



引っ込むや否や、巧巳は彼を睨みつけ、

「春海!てめぇ・・・」

その、十分にドスのきいた声に、周囲がおののく中、

「感謝しろよ。台詞を忘れたみたいだから、助けたんだろ。」

春海は飄々と言ってのける。

「ふざけん!」

「そうなんだぁ。巧巳、良かったねぇ。でも、最後のはやり過ぎだよ。」

いるかが、あっけらかんと言う。

「手が滑った。」

「嘘付け!」

その、まだまだ続きそうな会話を引き裂くように、

「王子と人魚姫出て。」

マキの声が響くと、王子と隣国の姫は火花を一つ散らして、離れたのだった。

~文化祭~Xday 人魚姫 ⑤~

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